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2017年6月3日土曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 14日目 テイラー展開

CC BY-NC-SA 3.0

Taylor’s theorem

4.3.1 Derivatives of higher orders

f:IRが微分可能なとき,一次導関数fが定義できる.さらにfが微分可能なとき,二次導関数fが定義できる.これを続けていけばn微分可能である限りn次導関数が定義できて,それをf(n)と書く.

4.3.2 Taylor’s theorem (テイラー展開)

平均値の定理の拡張としてテイラー展開を考えることができる.
f(x)の定義域の中の点x0の近くで,ff(x0)によって近似する.
f(x)=f(x0)+f(c)(xx0)
が中間値の定理により成立するが,cx0とすると,誤差が生じる.この誤差をより高次な微分係数を使って近似していく.

Definition 4.3.1

n回微分可能なfx0の近くで定義されているとき,n次テイラー多項式を
Px0n(x)=nk=0f(k)(x0)k!(xx0)k
と定める.
このとき,テイラー多項式のk次導関数(今後,k次導関数をk次微分とも呼ぶことにする)は
Px0(k)n(x)=ni=0f(i)(x0)i!k!(xx0)ik
であって,x=x0とすると,Px0(k)n(x0)=f(k)(x0).

Theorem 4.3.2 (Taylor)

f:[a,b]Rがn次までの導関数が連続で,f(n+1)(a,b)で定義されているとする.
f(x)=Px0n(x)+f(n+1)(c)(n+1)!(xx0)n+1=(nk=0f(k)(x0)k!(xx0)k+fn+1(c)(n+1)!(xx0)n+1)
x,x0(a,b)を選ぶたびにc(x,x0)を選べば成立する.
Rx0n:=f(n+1)(n+1)!(xx0)n+1をラグランジュの剰余項という.
proof.

f(x)=Px0n(x)+Mx,x0(xx0)n+1
を満たすMx,x0を見つける.
g(s)=f(s)Px0n(s)Mx,x0(sx0)n+1
とするとPx0(k)n(x0)=f(k)(x0)だから,s=x0のとき
g(x0)=g(x0)==g(n)(x0)=0
g(x0)=0,g(x)=0が成り立つので,平均値の定理よりx1(x0,x)があって,g(x1)=0が成立する.gにも平均値の定理を適用して,g(x0)=g(x1)=0からx2(x0,x1)があって,g(x2)=0が成立する.これを繰り返して,g(n+1)(xn+1)=0となるxn+1(x0,x)がある.
c=xn+1とすると,Px0nn+1回微分すると0になるから,
g(n+1)(s)=f(n+1)(s)(n+1)!Mx,x0
s=cとすれば,Mx,x0=f(n+1)(c)(n+1)!が成立する.

2017年6月2日金曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 13日目 平均値の定理

CC BY-NC-SA 3.0

4.2 Mean value theorem

4.2.2 Roll’s theorem

Theorem 4.2.3 (Roll’s theorem)

連続関数f:[a,b]R(a,b)で微分可能で,f(a)=f(b)なら,f(c)=0なるc(a,b)がある.
proof.

f[a,b]上の定数関数ならc(a,b)  f(c)=0.
そうでなければ,Theorem 3.2.2 (Minimum-Maximum-theorem)から,f[a,b]上で最大値をもつ.Theorem 4.2.2から,最大値を取る点cf(c)=0.

4.2.3 Mean value theorem

Theorem 4.2.4 (Lagrange’s Mean value theorem)

f:[a,b]Rが連続で,(a,b)で微分可能とする.
f(b)f(a)=f(c)(ba)
をみたすc(a,b)が存在する.
proof.

g(x)=f(x)f(b)+(f(b)f(a))bxbag(x)=f(x)f(b)f(a)ba
とすれば,g(a)=g(b)=0が成立して,Rollの定理からg(c)=f(c)f(b)f(a)ba=0なるc(a,b)が存在する. 変形すれば,f(b)f(a)=f(c)(ba)である.

4.2.4 Applications

Proposition 4.2.5

区間Iがあって,f:IRが微分可能でf(x)=0が常に成立するなら,fI上で定数関数である.
proof.

x,yI,x<yを任意にとって,[x,y]で平均値の定理を適用すると,f(y)f(x)=f(c)(yx)=0.よって定数関数.

Proposition 4.2.6

区間Iがあって,f:IRが微分可能で
(i) f(x)0が常に成立するなら,fI上単調増加.
(ii) f(x)0が常に成立するなら,fI上単調減少.
proof. 略

Proposition 4.2.8

f:(a,b)Rが連続で,c(a,b)があって,f(a,c),(c,b)で微分可能とする.このとき
(i) x(a,c)f(x)0, x(c,b)f(x)0なるとき,fcで最小値を取る.
(ii) x(a,c)f(x)0, x(c,b)f(x)0なるとき,fcで最大値を取る.
proof.

(ii)を証明する.
x(a,c)上の点とし, {yn}x<yn<cで,cに収束する列とする.Prop 4.2.6から,(a,c)で単調増加するから,f(x)f(yn). fの連続性からx(a,c) f(x)f(c)同様に,x(c,b)  f(x)f(c).よって示せた.

4.2.5 Continuity of derivatives and the intermediate value theorem

関数の導関数における中間値の定理.

Theorem 4.2.9 (Darboux)

f:[a,b]Rが微分可能とする.f(a)<y<f(b)f(a)>y>f(b)なるyが存在するとき,f(c)=yなるc(a,b)が存在する.
proof.

f(a)<y<f(b)とする. g(x)=yxf(x)とするとg[a,b]で連続であって,あるcで最大値を取る.
g(x)=yf(x)とすると,g(a)>0である.よって
g(x)g(a)xa>0
なるx>aがある(微分の定義を思い出せ).x>aだからg(x)>g(a).よってg(a)gの最大値足り得ない.同様にg(b)gの最大値たりえず,g(c)=maxgなるc(a,b)があって,Theorem 4.2.2から,g(c)=0.したがってf(c)=y.

中間値の定理によって,連続関数には中間値性があることがわかっている.非連続関数にも中間値性をもつものがあるが,微分可能な関数の導関数は非連続であっても中間値性がある.

2017年6月1日木曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 12日目 微分の定義

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 4. The Derivative

4.1 The derivative

4.1.1 Definition and basics properties

Definition 4.1.1

I:区間, f:IR,cIについて,
L:=limxcf(x)f(c)xc
が存在するとき,fcで微分可能であり,Lfcにおける微分係数といい,f(c)=Lと書く.
cIで微分可能なとき,単にfは微分可能という.

Proposition 4.1.4

f:IRcIで微分可能なら,cで連続.
proof.
limxcf(x)f(c)xc=f(x),     and     limxc(xc)=0
が存在することがわかっているから,f(x)f(c)=(f(x)f(c))/(xc)(xc)の極限は
lim(f(x)f(c))=limf(x)f(c)xclim(xc)=f(c)0=0
したがってlimxcf(x)=f(c)すなわちfcで連続.

Proposition 4.1.5

f:IR,g:IRcで微分可能なとき,
(i) αRに, αf(x)cで微分可能.
(ii) f(x)+g(x)x=cで微分可能.
proof. 略

Proposition 4.1.6 (Product rule)

4.1.5と同じ条件のもとで,
h(x)=f(x)g(x)とすると,hcで微分可能で,h(c)=f(c)g(c)+f(c)g(c)が成立する.
proof.
f(x)g(x)f(c)g(c)xc=(g(x)g(c))f(x)xc+g(c)(f(x)f(c))xc
両辺でlimxcをととると,limf(x),limg(x)g(c)xc,f(x)f(c)xcが存在するから示せた.

Proposition 4.1.7 (Quotient rule)

4.1.6の条件かつg(x)0のとき,h(x)=f(x)/g(x)とすると,
h(x)=f(c)g(c)f(c)g(c)g(c)2
proof. 略

4.1.2 Chain rule

Proposition 4.1.8 (Chain rule)

I1,I2は区間で,g:I1I2cI1で微分可能で,f:I2Rg(c)I2で微分可能で,h(x)=f(g(x))とするとき,hcで微分可能であって,
h(c)=f(g(c))g(c)
が成立する.

proof. 略

4.1.3 Exercises

Exercise 4.1.11

f:IRが有界で,g:IRcIで微分可能であり,g(c)=g(c)=0とする.h(x):=f(x)g(x)cで微分可能であると示せ.

f(x)g(x)f(c)g(c)xc=(g(x)g(c))f(x)xc+g(c)(f(x)f(c))xc
であるが,M=sup|f(x)|(maxでもよい)とすると,右辺第一項で
|(g(x)g(c))f(x)xc|M|(g(x)g(c))xc|
から,この項はxc0に収束する.
一方,右辺第二項で,g(c)=0からこの項は常に0
よってh(x)cで微分可能で,微分係数は0.

Exercise 4.1.12

f,g,h:IRについて,cIf(c)=g(c)=h(c)が成り立ち,g,hcで微分可能で,g(c)=h(c)とする.さらにxI  h(x)f(x)g(x)ならばfcで微分可能でf(c)=g(c)=h(c)であることを示せ.

h(x)h(c)xc,f(x)f(c)xc,h(x)h(c)xc
について,f,g,hの大小関係から,
h(x)h(c)xcf(x)f(c)xch(x)h(c)xc
が常に成立する(f(c)=g(c)=h(c)を使った)
一番左の項と一番右の項がxcで同じ値に収束するから,真ん中の項も同じ値に収束する.よって示せた(数列のはさみうちの原理(squeeze lemma)はやったけど関数の極限のはさみうちの原理はやってない気がする).

4.2 Mean value theorem

4.2.1 Relative minima and maxima

Definition 4.2..1

f:SRcSで極大値をとる
|xc|<δならばf(x)f(c)となるようなδ>0が存在する.
極小値も動揺に定義される.

Theorem 4.2.2

f:[a,b]Rc(a,b)で微分可能でcで極小となるとき,f(c)=0
proof.

f(c)=limxcf(x)f(c)xc
であるが,cfは極小だから,分子は常に非負.一方分母はcの周辺で符号を変えうるから,f(c)=0.極大のときも同様.

微分可能なfで,f(c)=0となるcをcritical pointという.一方,定義域に微分不可能な点を含む関数について,cで微分不可能なときにもcはcritical pointであるという.この定理は,閉区間上で定義された関数がcで極値をとるなら,cfのcritical pointであると主張している.

Linear Algebra (D. Cherney et al.) 4日目

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 5. Vector Spaces (ベクトル空間)

ベクトル空間は,加算とスカラー倍に閉じた集合のこと.

Definition. Vector space

2つの演算+,が定義された集合VRをスカラーとしてベクトル空間である
u,v,wV,c,d,Rとすると,以下のすべてが同時に成立
(+i) (Additive Closure) u+vV
(+ii) (Additive Commutativity) u+v=v+u
(+iii) (Additive Associativity) (u+v)+w=u+(v+w)
(+iv) (Zero) u+0V=uがすべてのuに成り立つような特別な元0Vがある(零元という)
(+v) (Additive Inverse) すべてのuVに, u+v=0Vとなるようなvがある.vuとも書く.
( i) (Multiplicative Closure) cvV
( ii) (Distributivity) (c+d)v=c˙v+d˙v
( iii) (Distributivity) c(u+v)=cu+cv
( iv) (Associativity) (cd)v=c(dv)
( v) (Unity) 1v=v for all vV

代数学でいう体(field)との違いは,スカラーを別の(同じでもいいが)集合から持ってくること.

5.1 Examples of Vector Spaces

Example 58

RN={f|f:NR}
(f1+f2)(n)=f1(n)+f2(n),(cf)(n)=c(f(n))とすれば,たしかにベクトル空間となっている.
この空間のそれぞれの元は実数列と考えることができる.

Example 59

RR={f|f:RR}
58と同様にベクトル空間である.

Example 61

{f:RR|ddxfが存在する}
もまた58の演算によってベクトル空間となる.

Example 62 (Solution set to a homogeneous linear equation)

M=(111 222 333)とすると,Mx=0の解は{c1(110)+c2(101)|c1,c2R}
この解空間もまたベクトル空間である.R3の部分集合だから,部分空間とも呼ぶ.

Basic Analysis (Jiri Lebl) 11日目 無限大の極限

CC BY-NC-SA 3.0

3.5 Limits at infinity

3.5.1 Limits at infinity

Definition 3.5.1

SRに,どのような大きなMRをとってもx>MなるxSがあるとき,Sを集積点に持つ.またこのときf:SRで,LRがあって,任意のϵ>0x>M|f(x)L|<ϵとなるようなMが存在するときfxが無限大に近づくときLに収束するといい,fx(x)=Lと書く.
xfx(x)=Lも同様に定義される.

Proposition 3.5.2

Def 3.5.1と無限大での極限を定義するとき,その極限は一意.
proof. 略

Lemma 3.5.5

Def 3.5.1の条件のもとで,{xn}xnなる任意の列とすると,
limxf(x)=Llimnf(xn)=L

proof. 略

3.5.2 Infinite limit

Definition 3.5.6

f:SRについて,どのような大きなNにも,x>Mf(x)>NとなるようなMがあるとき,fxが無限大に近づくとき+に発散するといい,fx(x)=と書く.

3.5.3 Compositions

Proposition 3.5.8

f:AB,g:BR,A,BRで,a,bR{±}はそれぞれA,Bの集積点であって,
limxaf(x)=b,    limybg(y)=c
であり,かつbBなら
limxag(f(x))=c
が成立する.

proof. 略

2017年5月30日火曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 十日目 一様連続性

CC BY-NC-SA 3.0

3.4 Uniform continuity (一様連続)

Definition 3.4.1

SR,f:SRが一様連続である
ϵ  δ  s.t.  |xy|<δ|f(x)f(y)|<ϵ

Example 3.4.3

f:[0,1]xx2は一様連続.
proof.

0x,c1とすると,|x2c2|=|x+c||xc|(|x|+|c|)|xc|2|xc|
ゆえにδ<ϵ/2のとき,|xc|<δ|f(x)f(c)|<ϵから,たしかに一様連続.

一方で,f:Rxx2は一様連続でない.
proof.

どのような小さなδ>0を予めとっても,|(x+δ/2)2x2||xδ|から,|x|を大きくすることでどれほど大きなϵ>0にも|f(x)f(y)|ϵとできる.

Theorem 3.4.4

f:[a,b]Rが連続なら,f[a,b]上一様連続.
proof. 略

3.4.2 Continuous extension

Lemma 3.4.5

f:SRは一様連続とする.{xn}S上のコーシー列なら,{f(xn)}R上のコーシー列である.
proof.

ϵ>0を固定する.δ>0があって,|xy|<δ|f(x)f(y)|<ϵ.
{xn}S上のコーシー列とすると, m,nN|xmxn|<δとなるNがあって,m,nN|xmxn|<δ|f(xn)f(xm)|<ϵが成立する.

Theorem 3.4.6

f:(a,b)Rが一様連続
La=limxaf(x),Lb=limxbf(x)が存在して,
˜f(x)={f(x)  x(a,b)La  x=aLb  x=b
が連続.

proof.


˜f(x)Laで連続であると示せばLbも同様に言えるし,(a,b)で連続なのは明らかである.
{xn}(a,b),xnaなる数列をとると,これはコーシー列.Lemma 3.4.5よりその像の列{f(xn)}もコーシー列であって,ある極限L1に収束する.また,{xn}とは別に{yn}(a,b),ynaをとると,同じ議論で極限L2=limf(yn)があると示せる.xn,ynは任意に取ったから,L1=L2を示せば,La=limxaf(x)が存在すると言える.
ϵ>について,fの一様連続性から|xy|<δ|f(x)f(y)|<ϵなるδがあり,nMならば|axn|<δ/2,|ayn|<δ/2,|f(xn)L1|<ϵ,|f(yn)L2|<ϵなるMがあるから,
|xnyn||xna|+|ayn|<δ
|L1L2||L1f(xn)|+|f(xn)f(yn)|+|f(yn)L2|3ϵ
ϵは任意だから,L1=L2.よってLa=limxaf(x)は存在する.
˜fの定義から,˜faに置いて連続と示せた.

3.4.3 Lipschitz continuous functions

Definition 3.4.7

f:SRがリプシッツ連続である
K  s.t.  x,yS   |f(x)f(y)|K|xy|

Proposition 3.4.8

リプシッツ連続関数は一様連続関数である
proof. 略

Linear Algebra (D. Cherney et al.) 三日目

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 4. Vectors in Space, n-Vectors

n次元ベクトルa=(a1a2an)
と書く.この本では右上に第i要素と示す添え字を乗せる.

4.1 Addition and Scalar Multiplication in Rn

ベクトルの足し算とスカラー倍の定義

4.2 Hyperplanes

u,vRdにおいて,uを通ってvと平行な直線L
L={u+tv|tR}
と書ける.uをある点Pと考えて,L={P+tv}と書くこともできる.

0ベクトルでないu,vRdが平行でないとき,u,v{su+tv|s,tR}によって原点を通る平面を定める.また,ある点Pを通り,かつ{su+tv}に平行な平面は{P+su+tv}と書ける.

Definition

{vi}ni=1が一次独立[λivi=0iλi=0]

Definition

k本の一次独立なベクトルv1,...,vkRnと点PRnがあって,knなら,k次元の超平面(hyperplane)
{P+ki=1λivi|λiR}

が定義できる.kが明示されていないとき,多くの場合はk=n1である.すなわち,超平面はもとの空間を2つの空間に分ける.

Directions and Magnitudes

||v||:=ni=1(vi)2
n次元ベクトルvのユークリッドノルムという.
u,vRnに,||uv||2=||u||2+||v||22||u||||v||cosθが成立するから,
||u||||v||cosθ=12(||uv||2||u||2||v||2)=i[(viui)2(ui)2(vi)2]=i2uivi
したがって
||u||||v||cosθ=uivi

Definition Dot product (ドット積)

u=(u1,...,un)T,v=(v1,...,vn)Tに,内積uv=uiviとする.

Definition ベクトルの長さ(norm, magnitude)

vRnの長さを||v||:=vvで定めると,節頭で定義したユークリッドノルムと一致する.

Definition orthogonal, perpendicular (直行)

uv=0なるとき,ベクトルu,vRnは直行するという.

以上ではドット積からノルムや直行を定義したが,ドット積の一般化にinner product(内積)という概念があり,内積はいくらでも考えられる.ドット積の代わりにある内積を使うと,同じベクトルだがノルムが違ったり,直行していたベクトルが直行しなくなったりする.とりあえずこの本では特に指定がなければドット積から定義されたノルムや直交性を考えれば良いようだ.内積は一般にu,vと書く.

Definition Inner product (内積)

複素数で定義したほうがいいのかもしれないが,とりあえず実数でやる.
u,v:Rn×RnRがノルムである
(1)v,v=0v=0     (2)αR  (αu+v),w=|α|u,w+v,w     (3)αR  u,(αv+w)=|α|u,w+u,w     (4)u,v=v,u     (5)v,v0

Theorem 4.3.1 (Cauchy-Schwartz Inequality)

ベクトルu,v0と内積u,vがあるとき,
|u,v|||u||||v||
proof.

αRに,
0u+αv,u+αv=u,u+2αu,v+α2v,v
が成立する.αの二次式と考えて最小値をとるようなαを考えると,α=u,v/v,vで,代入して
0u,uu,vv,vu,v2u,uv,v|u,v|||u||||v||

Theorem 4.3.2 Triangle Inequality (三角不等式)

u,vRn||u+v||||u||+||v||
proof.

||u+v||2=(u+v)(u+v)=uu+2uv+vv=||u||2+||v||2+2||u||||v||cosθ=(||u||+||v||)2+2||u||||v||(cosθ1)(||u||+||v||)2

4.4 Vectors, Lists and Functions: RS

Rn={(a1an)|a1,....,anR}
であるが,aa:{1,...,n}Rという任意の写像とするとき,
Rn={a:{1,...n}R}=:R{1,...,n}
とも書ける.このように,集合Sについて,SからRへの写像すべての集合を考えることで,
RS={f:SR}
とすることができる.

2017年5月29日月曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 九日目 中間値の定理

CC BY-NC-SA 3.0

3.3 Min-max and intermediate value theorem

3.3.1 Min-max theorem

Lemma 3.3.1

f:[a,b]Rが連続なら,有界
proof.

fが非有界であると仮定すると,{xn}[a,b]で, f(xn)nをみたす列{xn}が存在する.
{xn}は有界な列だから,Bolzano-Weierstrassの定理より収束する部分列{xni}がある.x=limxniとするとx[a,b]であるがlim|f(xni)|lim|f(xi)|limn=で,連続性から|f(x)|=.これはfのrangeが実数であることに反する.

Definition

f:SRcで最小値を取るxS  f(x)f(c)
f:SRcで最大値を取るxS  f(x)f(c)
このようなcSがあるとき,fはそれぞれ最小値,最大値を持つ という.

Theorem 3.3.2 (Minimum-maximum theorem)

f:[a,b]Rが連続であるとき,fは最大値,最小値を両方持つ.
proof.

最大値を持つことを示す.
Lemma 3.3.1よりf([a,b])は有界だから,M=supf([a,b])が存在する.M=limf(xn)である{xn}[a,b]がある(をみたすが存在する).
Bolzano-Weierstrassの定理よりである部分列がある.
の連続性より,. より,.最小値の存在も同様に示せる.

Example 3.3.5

は,につれてに発散し,につれてに近づくが.このように定義域が閉区間(正確にはコンパクト集合)であることが重要.

Example 3.3.6

連続性も重要.としても,で非連続なので最大値は存在しない.

3.3.2 Bolzano’s intermediate value theorem (中間値の定理)

Lemma 3.3.7

は連続で, とすると, である点が存在する.

proof.

を帰納的に定義する.
(i)
(ii) >
(iii)
ともに有界列だから,それぞれの上限,下限をとする.だから.また,単調性から.ここで,構成よりが常に成立している.よって.連続性からが成立.

Theorem 3.3.8 (Bolzano’s intermediate value theorem)

は連続で, あるいはならなるが存在する.
proof.

lemma 3.3.7より明らか

3.3 Exercises

3.3.12

は連続で,が任意ので成り立つとする.を求めよ.

がかならずの元であることを示す.なるが存在しないと仮定して矛盾を導く.
中間値の定理の対偶より,このときあるいはなるは存在しない.いっぽう題意より

これは矛盾.よって

3.3.13

は連続でが有界ならも有界であるか.証明するか反例を与えよ.

反例 とすれば,任意のからは有界.で,連続関数の合成だから連続.またとすると,どのようなにもから,で上に非有界.下に非有界なことも同様に示せて,よって反例がつくれた.

2017年5月28日日曜日

Linear Algebra (D. Cherney et al.) 二日目

CC BY-NC-SA 3.0

3.4 Pablo Meets Dantzig

線形関数を最大化する

を満たすように探すのがDantzig’s algorithmだが,これをこのまま適用できない場合もある

Examle 42

Pabloの場合, だから, と置き換える.
は3となるが, という形ではない.そこで, なる変数をさらに導入して,を束縛条件とする.このように,不等式の条件を等式の条件に変換するために加えられる変数をslack variablesという.こうして

が拘束条件となった.を最小化するため, 最大化する関数
最大化するを求める.
拡大係数行列は

となる.
第三行の係数がすべて非負だからとしてしまいたいが,slack valuableの係数が負であると(この場合,第一行の)slack valuableが非負であるという条件のもとで解けなくなってしまうので,さらにartificial variables を導入する.大きなによって,とすれば,が最大となるのにが必要.
拡大係数行列は

, 他の係数をとするととなって,が解けて,さらにとなる.
(正直なんで解けてるのかわからん)

Basic Analysis (Jiri Lebl) 八日目 連続関数と連続性の定義

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 3. Continuous Functions

3.1 Limits of functions

3.1.1 Cluster points (集積点)

cluster point は収積点と訳して, accumulation point や limit pointを集積点と訳すのだが,この本の定義ではcluster point は集積点のことのようだ.参考: 収積点と集積点(青山耕治)

Definition 3.1.1

について, の集積点である

つまり,のどれほど近くにもの点があるということ.
例:

(i) の集積点はのみ.
(v) において集積点を持たない

Proposition 3.1.2

の集積点である
に収束するがある.
proof.


仮定より, で,この集合のある要素をとすれば,である.

仮定より,
したがって,

3.1.2 Limits of functions

上で定義された関数での集積点なら,に近づくときの極限を定義できる(存在するかは別).また, であるとき, とは限らない.

Definition 3.1.3

について,

となるようなが存在するとき, と書いて,での極限値という.この極限値が存在しないとき,で発散するという(が存在しても).

Proposition 3.1.4

の集積点とする.において極限値を持つとき,その値は一意.
proof. 略

3.1.3 Sequential limits

関数の極限と数列の極限の橋渡し

Lemma 3.1.7

, の集積点とする.
なる任意の点列に, が成立する.
これを関数の極限の定義とする本もある.

proof. 略

Lemma 3.1.7によって,以下のCorollaryがかんたんに証明できる.

Corollary 3.1.9

, の集積点であって,における極限が存在して,なら,
proof. Lemma 3.1.7とLemma 2.2.3で示せる.

Corollary 3.1.10

3.1.9の条件のもとで
proof. Lemma 3.1.7とLemma 2.2.4で示せる.

Corollary 3.1.11

3.1.9の仮定の条件にさらにを加えてで, なら.
proof. 略

Corollary 3.1.12

Proposition 2.2.5の関数の極限版

3.1.4 Limits of restrictions and one-sided limits

略 要するに左極限と右極限を定義したい

3.2 Continuous functions

この章で, とする.

3.2.1 Definition and basic properties

Definition 3.2.1

が連続
だから,実数の中の整数集合のような”まばらな”集合上で定義された関数は各点で連続となる.
において,で連続なら,単には連続であるという.

Proposition 3.2.2

について,
(i) の集積点でないなら,で連続.
(ii) の集積店なら,[で連続 への極限が存在し,
(iii) で連続 なる任意の列でに収束する.

proof.

(i),(ii) 略
(iii)
()
とする.
さらに連続性より
合わせて
()
が存在しないときはの集積点でなく(i)より成立.の集積点とする.
で連続でないと仮定する. 任意のかつなるが存在する.なる数列とすると,だがだからこれは仮定に反する.

Example 3.2.3

は連続
proof.

とする.に収束する列とすると,

Proposition 3.2.4

で連続.

3.2.2 Composition of continuous functions

の連続性の遺伝

Proposition 3.2.7

とする. で, で連続であれば,で連続.
proof.

Prop 3.2.2(iii)でかんたんに示せる.
に収束するとする.で連続だから,.またで連続だから,.

3.2.3 Discontinuous functions

で連続でないとき,で非連続であるという.Prop 3.2.2(iii)のの対偶(contraposition)をとれば,

Proposition 3.2.9

に収束する で, なるが存在するとき,で非連続.

Example 3.2.11 (Dirichlet’s function)


をDirichlet functionといい,のすべての点で非連続であることが知られている.

proof.

とする.なる数列が無理数の実数での稠密性から存在する.
だから非連続. )でもほとんど同様.

3.2.4 Exercises

Exercise 3.2.13

で, に収束する任意のが収束するなら,で連続であることを示せ. (を仮定していない点でProp 3.2.2(iii)と異なる)

proof.

仮定のもとでを言えば良い.
に収束するについて,
とすれば,は収束するから,も収束する.収束する列のすべての部分列はもとの列と同じ極限に収束するから,

が成立する.よって示せた.

Exercise 3.2.14

が連続で, とする.

とするとは連続であると示せ.
proof.

で連続であることを示す.
に収束する任意のについて,近傍ではで,の連続性とProp 3.2.3(iii)よりしたがってが成立.よってで連続.
でも同様.

での連続性を示す.
とする.の点が有限個しかないなら,は明らかで, の点が有限個しかないときも同様.
の点をそれぞれ無限個含むとする.とすると
の連続性から任意の


なるがある. とすると
すなわち
以上より,任意の.よってで連続

で連続と示せた.