Processing math: 100%

2017年6月10日土曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 17日目 Riemann積分の線形性

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 5 The Riemann Integral

5.2 Properties of the Integral

5.2.2 Linearity and monotonicity

Proposition 5.2.4 (Linearity)

f,gR[a,b],αRとする.
(i) αfR[a,b]で,
baαf=αbaf
(ii) f+gRで,
ba(f+g)=baf+bag
proof.

(i) 略
(ii) (Exercies 5.2.2)
Prop 5.1.13の逆(明らか)より,U(P1,f)L(P1,f)<ϵ,U(P2,g)L(P2,g)<ϵなる[a,b]の分割P1,P2がある.P=P1P2とすると,Prop 5.1.7より
U(P,f)L(P,f)<ϵ,U(P,g)L(P,g)<ϵ
さらに
supxi1xxi(f+g)(x)supxi1xxif(x)+supxi1xxig(x)
が常に成立するから¯ba(f+g)¯baf+¯bag
同様にba_(f+g)ba_f+ba_g
したがって
ba_f+ba_gba_(f+g)¯ba(f+g)¯baf+¯bag
f,gRから上の不等式の最左辺と最右辺の値は等しく.故にすべての辺の値は等しい.
Darboux上下積分が一致するからf+gR[a,b]であって,積分値はf,gの積分値の和に等しい.

Proposition 5.2.5 (Monotonicity)

f,gR[a,b],f(x)g(x)なら,
bafbag
proof.

P={x0,...,xn}[a,b]の分割とする.
mi=inf{f(x)|x[xi1,xi]},~mi=inf{g(x)|x[xi1,xi]}
であって, L(P,f)L(P,g)が任意のPに成立.
すべてのPでのsupを考えれば,ba_fba_g.
Darboux上積分も同様の不等式がなりたつから,命題が成立する.

5.2.3 Continuos Functions

連続関数とリーマン可積分性の関係を調べる.

Lemma 5.2.6

f:[a,b]Rが連続なら,fR[a,b].
proof.

閉区間上連続だから,fは一様連続.|xy|<δ|f(x)f(y)|<ϵ/(ba)なるδがある.
P={x0,...,xn}を分割とし,Δxi<δが常に成り立つようにする.このとき
f(x)f(y)|f(x)f(y)|<ϵba
f[xi1,xi]で連続だから,そこで最大値/最小値を持つ.x=argmaxf(x)(x[xi1,xi]),y=argminf(x)(x[xi1,xi])
とすればMi=f(x),mi=f(y)であって,Mimi<ϵ/(ba).したがって
¯bafba_fU(P,f)L(p,f)=(Miδxi)(miδxi)=(Mimi)Δxiϵ/(ba)δxi=ϵ
ϵは任意だから,Darbouxの上下積分は一致し,すなわちリーマン可積分.

Lemma 5.2.7

f:[a,b]Rが有界で,a<a<b<bなる任意の[a,b]でリーマン積分可能ならfR[a,b]であり,a<an<bn<bliman=a,limbm=bであるとき,
baf=limbnanf
proof.

M>0|f(x)|<Mなる実数とする.
M(ba)M(bnan)bnanfM(bnan)M(ba)
だから,{bnanf}nは有界で,Bolzano-Weierstrassの定理から,収束する部分列{bnkankf}kがある.その極限をLとする. Lemma 5.2.1より,
ba_f=anka_f+bnkankf+bbnk_fM(anka)+bnkankfM(bbnk)
kとすれば
ba_fL
同様に¯bafLが言えて,Lba_f¯bafLから,fのDarboux上下積分は一致してその値はL.
部分列の極限が常にbafという実数だから,もとの数列もbafに収束する.

Definition

f:[a,b]Rが区分的連続
有限個の点を除いた[a,b]fは連続.

Theorem 5.2.8

f:[a,b]Rが有界で区分的連続ならリーマン積分可能
proof.

[a,b]から非連続な点を除いた区間の列(ai,bi)をつくる.それぞれの(ai,bi)に含まれる任意のの閉区間[ci,di]fは連続だから,リーマン積分可能.Lemma 5.2.7から[ai,bi]でもfはリーマン積分可能.Theorem 5.2.2より[ai,bi]をすべてつなげた[a,b]fはリーマン積分可能.

Proposition 5.2.9

f:[a,b]Rがリーマン可積分とする.g:[a,b]Rで,有限集合Sがあってx[a,b]S  f(x)=g(x)であるなら,gRであって,積分値は等しい.
proof. (Exercise 5.2.7)

簡単のため,fは連続であるとする.
[a,b]からSの元を除いた区間の列(ai,bi)をつくる.g[ai,bi]で積分可能であって,biaig=biaif. Theorem 5.2.2からbaf=bag.

Linear Algebra (D. Cherney et al.) 5日目

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 6. Linear Transformations

Definition

関数L:VWが線形である
V, W はベクトル空間であって, u,vV,r,sRL(ru+sv)=rL(u)+sL(v)

線形関数を文脈に応じて線形変換,線形写像,homogeneousとか呼ぶことがある.(日本語の本ではだいたい線形写像を使う)
今後,Lで書いた写像は全て線形とする.

6.1 The Consequence of Linearity

線形性によって,写像の性質を少ない個数の変数で表現することが出来る.

Example 70 (Two outputs in R2 specifies all outputs)

L(10)=(53)   L(01)=(22)
がわかっているなら,R2の点は(x,y)Tと書けるから,
L(xy)=L[x(10)+y(01)]=(5x+2y3x+2y)
このように,任意の点からの像がただちにわかる.
一般に,L:RnRmについて,(1,0,...,0)T,(0,1,0,...,0)T,...,(0,0,...,1)Tn本のベクトルに対する像がわかれば,Lの任意の像が計算できる.

6.2 Linear Functions on Hyperplanes

線形関数は行列で書ける.これは線形連立方程式を解くことにほかならない.定義域がある超平面である線形関数を調べる.

Example 71

V={c1(110)+c2(011)}
とする.L:VR3
L(110)=(010)   L(011)=(010)
を満たすとき,
L[c1(110)+c2(011)]=(c1+c2)(010)
Lの定義域は三次元上の(1  1  0)T,(0  1  1)Tの張る平面.L
L(c1c1+c2c2)=(000101000)(c1c1+c2c2)=(000010000)(c1c1+c2c2)=(c1+c2)(010)
3×3行列は常にR3R3を定るが,Vは二次元だからLを表す2つの3×3行列がある.一方で
L[c1(110)+c2(011)]=(c1+c2)(010)=(001100)(c1c2)
と,Vの元をc1,c2だけで代表させ,順番を変えなければ,Lは唯一つの3×2行列に対応する.

6.4 Bases(Take 1)

あるベクトル空間Vの基底とは,Vの部分集合{v1,...,vn}であって(無限集合になることもある),任意のVの元vv=iαiviと一意に書けるもの

正直この本ってだいぶ読みにくいね

2017年6月9日金曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 16日目 Riemann積分の定義

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 5 The Riemann Integral

5.1 The Riemann Integral

高校で習う積分.普通積分というとこれのこと.この本ではDarbouxの方法でRiemannが考えたのと同値な積分を導入する.

5.1.1 Partitions and lower and upper integrals

Definition 5.1.1

Pが区間 [a,b] の分割である
Pは
a=x0<x1<<xn=b
を満たす {x0,...,xn}.
このとき、Δxi:=xixi1 と書く.
また,有界なf:[a,b]R[a,b] の分割 P があるとき、
mi:=inf{f(x)|xi1xxi}Mi:=sup{f(x)|xi1xxi}L(P,f):=ni=1miΔxiU(P,f):=ni=1MiΔxi
と定める.L(P,f),U(P,f) をそれぞれ下Darboux和, 上Darboux和という.(上下Darboux和を¯S(P,f),S_(P,f)と書く本もある)

Proposition 5.1.2

f:[a,b]Rが有界で, m,MRfの下限,上限とする . [a,b]の任意の分割Pに,
m(ba)L(P,f)U(P,f)M(ba)
proof.
略 (ほとんど明らか)

Definition 5.1.3

Darboux和は有界だから,
ba_f=ba_f(x)dx=sup{L(P,f)|P[a,b]}¯baf=¯baf(x)dx=inf{U(P,f)|P[a,b]}
が存在して,それぞれを下Darboux積分, 上Darboux積分という.

Definition 5.1.6

[a,b]の分割P={x0,...,xn},˜P={~x0,...,~xm}があるとき, ˜PPの細分である
P˜P

Proposition 5.1.7

f:[a,b]Rが有界で,P[a,b]の分割で,˜PPの細分とする.このとき
L(P,f)L(˜P,f)     U(˜P,f)U(P,f)
proof.

P={x0,...,xn},˜P={~x0,...,~xm}とする. 細分の定義から, x0=˜x0,xn=˜xmであって,xk=˜xkjをみたす狭義単調増加数列{kj}nj=0が存在する.Δ~xj=˜xj1˜xj とすると,
Δxj=kjp=kj1+1Δ˜xp
が成立する.mj=inf{f(x)|xj1xxj},˜mj=inf{f(x)|˜xj1x˜xj}とすれば,kj1<pkjにおいてmj˜mp. したがって
mjΔxj=mjkjp=kj1+1Δ˜xpkjp=kj1+1˜mpΔ˜xp
ゆえに
L(P,f)=nj=1mjΔxjnj=1kjp=kj1+1˜mpΔ˜xp=mj=1˜mjΔ˜xj=L(˜P,f)
が成立する.
U(˜P,f)U(P,f)も同様に示せる.

Proposition 5.1.8

以上の定義のもとで
m(ba)ba_f¯baM(ba)
proof.

Prop 5.1.2 より任意のP
m(ba)L(P,f)U(p,f)M(ba)
m(ba)L(P,f)からm(ba)supL(P,f)=baf_.同様に¯bafM(ba).
また,任意の分割P1,P2があったとき,˜P=P1P2とすると,˜PP1,P2の細分であって,Prop 5.1.7よりL(P1,f)L(˜P,f)U(˜P,f)U(P2,f)したがって,L(P1,f)U(P2,f)が常に成立.Prop 1.2.7より,
ba_f=sup{L(P,f)|P}inf{U(P,f)|P}=¯baf

5.1.2 Riemann integral

Definition 5.1.9

f:[a,b]Rは有界で,
ba_f=¯baf
であるとする.このときfはリーマン可積分であるといい,リーマン積分可能な[a,b]上の関数の集合をR[a,b]と書く.fR[a,b]であるとき,
baf=baf(x)dx:=ba_f=¯bafで積分の値を表す.
定義よりリーマン可積分関数は有界で,Prop 5.1.8より直ち次の命題を得る.

Proposition 5.1.10

fR[a,b]とする.m,Mをそれぞれfの下界,上界とすると,
m(ba)bafM(ba)(|baf|max(|m|,|M|)(ba)

Proposition 5.1.13

f:[a,b]Rは有界とする. fがリーマン可積分
ϵ>0  P  s.t. U(P,f)L(P,f)<ϵ
proof. 略

5.2 Properties of the integral

5.2.1 Additivity

Darboux和の加法性を示すことで,Riemann積分の加法性を示す.

Lemma 5.2.1

a<b<c,f:[a,c]Rは有界とする.このとき
ca_f=ba_f=cb_f¯caf=¯baf=¯cbf
が成立する.
proof.

分割P1={a=x0,...,xk=b},P2={b=xk,k+1,...,xn=c}を考えると,P1P2[a,c]の分割.
L(P,f)=L(P1,f)+L(P2,f) とできる.右辺で上限を取るとき,左辺はPbPに制限した上での上限.
Q[a,c]の任意の分割とすると,P=Q{b}Qの細分であって,L(Q,f)L(P,f)したがってbPに制限した上限は制限しないときの上限に等しく,命題の片方が成立する.もう一方も同様.

Theorem 5.2.2

a<b<c,fR[a,c]f|[a,b]R[a,b],f|[b,c]R[b,c]
proof.

()Lemma 5.2.1より,
caf=ca_f=ba_f+cb_f¯baf+¯cbf=¯caf=caf
したがって,
ba_f+cb_f=¯baf+¯cbf
ここで,ba_f¯baf,cb_f¯cbfだから,
ba_f=¯baf,cb_f=¯cbf.
すなわちf[a,b],[b,c]でリーマン積分可能.
() Lemma 5.2.1から明らか.

2017年6月7日水曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 15日目 陰関数定理

CC BY-NC-SA 3.0

4.4 Inverse function theorem (陰関数定理)

4.4.1 Inverse function theorem

Lemma 4.4.1

I,JRは区間で,f:IJは全単射かつ狭義単調増加で,xIで微分可能で,f(x)0であるとする.このとき,y=f(x)において,
(f1)(y)=1f(f1(y))=1f(x)
が成立し,特にfIで連続でf0なとき,f1もまた連続微分可能である.(連続微分可能 微分可能かつ導関数が連続)
proof. 略

Theorem 4.4.2 (Inverse function theorem)

f:(a,b)Rが連続微分可能でx0(a,b)f(x0)0であるとき,x0I(a,b) なる区間Iであって,fIへの制限f|I:If(I)が全単射で,連続微分可能な逆関数g=(f|I)1があって,
g(y)=1f(g(y))
が成立する.

proof. 略