2017年5月27日土曜日

Linear Algebra (D. Cherney et al.) 二日目

CC BY-NC-SA 3.0

3.4 Pablo Meets Dantzig

線形関数を最大化する

を満たすように探すのがDantzig’s algorithmだが,これをこのまま適用できない場合もある

Examle 42

Pabloの場合, だから, と置き換える.
は3となるが, という形ではない.そこで, なる変数をさらに導入して,を束縛条件とする.このように,不等式の条件を等式の条件に変換するために加えられる変数をslack variablesという.こうして

が拘束条件となった.を最小化するため, 最大化する関数
最大化するを求める.
拡大係数行列は

となる.
第三行の係数がすべて非負だからとしてしまいたいが,slack valuableの係数が負であると(この場合,第一行の)slack valuableが非負であるという条件のもとで解けなくなってしまうので,さらにartificial variables を導入する.大きなによって,とすれば,が最大となるのにが必要.
拡大係数行列は

, 他の係数をとするととなって,が解けて,さらにとなる.
(正直なんで解けてるのかわからん)

Basic Analysis (Jiri Lebl) 七日目 べき級数と収束半径

CC BY-NC-SA 3.0

2.6.4 Multiplication of series

級数どうしの掛け算は,少なくとも一方が絶対収束すると議論ができる.

Theorem 2.6.5 (Merten’s theorem)

がそれぞれに収束するとする.少なくとも一方が絶対収束するとき,

とすると, に収束する.この級数のコーシー積(Cauchy product)という.

proof.

2.6.5 Power series (べき級数)

におけるべき級数とは,

の形をしたの関数で,の少なくともひとつの(実際には収束するなら無限個の)点で収束するとき,べき級数は収束するという.のすべての点で発散するとき,べき級数は発散するという.

Example 2.6.7 (Exponential)


は, より,ダランベルの収束判定を使って,このべき級数はすべてので収束する.これはに等しい.

Proposition 2.6.10 (収束半径)

べき級数には,ならば収束, なら発散するようながある.このを収束半径という.べき級数が発散するときには, 常に収束するときにはとする.
proof. (本の証明がややこしいので”Understanding Analysis”, Abbottを参考にした)

あるが収束するとき,なるすべてのでべき級数が絶対収束(収束)することを示す.が収束するから,がすべてのになりたつがある.とすると,

の幾何級数で,収束する.よってこのが絶対収束すことが示せた.
さらに,

とする. ならで,級数はすべてので収束し,ならですべてのに発散する. とすると, で級数は絶対収束し, またなら級数は発散する.とすると,命題が示せた.

2017年5月26日金曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 六日目 コーシー列と級数の収束

CC BY-NC-SA 3.0

2.4 Cauchy sequences

Definition 2.4.1

がコーシー列

Proposition 2.4.4

コーシー列は有界
proof. 略

Theorem 2.4.5

がコーシー列は収束する$
proof.

()
は有界だから,を示せば良い.とすと,なる部分列がある.したがって

このとき,
コーシー列と部分列の定義から, なるがあって,とすると,
以上により示せた
() 略

他の教科書でよく見る証明とは違うが,上下極限が一致するなら極限が存在するという性質を知っていればこっちのほうが単純に書ける.

2.4.1 Exercise

Exercise 2.4.7

問: がコーシー列で, 無限に多くのが成立するとき,コーシー列の定義だけを使ってを示せ.


無限に多くのが成立するから,を満たすが必ず存在する.このようなを選ぶたびに一つ選んでとすると,

よってが示せた.

Exercise 2.4.8

問: がコーシー列ならある,を満たすが存在するか.


とすると,が0に収束するのは明らかだが,なる任意のに,

よって反例を示せた.

2.5 Series

2.5.1 Definition

Definition 2.5.1


の値を, として部分和の列の極限と定義する.

Proposition 2.5.5

任意のnに
が収束する が収束する

proof.略

2.5.2 Cauchy Series

Definition 2.5.6

がコーシー(級数)である部分和列がコーシー列である

2.5.3 Basic properties

Proposition 2.5.8

が収束するとき, は収束し.
proof.

級数の収束の定義から, が収束する はコーシー級数である 部分和列がコーシー列である
部分和列をとする.これがコーシー列だから
と限定すると
したがって確かにに収束する.(逆は一般には成り立たない)

Proposition 2.5.10

があって, が収束級数とすると,
(i) は収束し,
(ii)は収束し
proof. 略

2.5.4 Absolute convergence

の各が非負であれば,部分和列は単調増加列となって,議論しやすい.一般の級数も項に絶対値を施して扱いやすくして,性質を論じることができる.

Definition 2.5.12

が絶対収束する(converges absolutely) が収束する

Proposition 2.5.13

絶対収束する級数は収束する.
proof.

の部分和はコーシー列だから,

ここで, から, もコーシー列.
よってもとの級数も収束する.

一方, 絶対収束しなくても収束する(条件収束する)級数の例としてがある.

2.5.5 Comparison test and the p-series

Proposition 2.5.14 (Comparison test)

であるとき,
(i) が収束する も収束
(ii) が発散する も発散

proof.

(i)
の部分列をそれぞれとすると, 仮定より.
の極限をとするとが常に成立し,は収束してLemma 2.2.3よりその極限は以下.以上により示せた.
(ii) 略

Proposition 2.5.15 (p-series of p-test)


が発散する

proof.

とする..
は発散するから,も発散する.
とする. 部分和は,





から, , より,

から. Exercise 2.5.2から, は収束し,prop2.5.14よりも収束する.

Example 2.5.16

は収束する.
proof.

であり,Prop2.5.14, 2.5.15から成立.

2.5.6 Ratio test

Proposition 2.5.17 (Ratio test, ダランベルの収束半径)

が存在するとき,
(i) なら, は絶対収束する
(ii) なら, は発散する

proof.

(i) 略
(ii)Lemma 2.2.12より, ならは発散する. Prop2.5.8の対偶を考えれば,は発散すると示せる.

2.5.7 Exercises

2.5.12

とする. 任意の{x_n}$はコーシー列でないと示せ.

  1. がコーシー列でないことを示す.
    とすると, .これは発散する級数の(n+1)-tailであって,を決めればとともに発散する.よってこれはコーシー列でない.
  2. を示す.

2.5.13

の部分和をとする.
(a) が存在するようながあってなら,は収束することを示せ
(b) が存在して, (このとき \sum x_n は発散する)ようなを考えよ
(c) かつ が収束するような部分列が存在するが,は発散するようなを考えよ.

(a) コーシー級数であることを示せば良い.
として,なるがあるから,

ここで, が存在するからはコーシー列で,

また, から,
これらから, .以上により示せた.
(b)とする.
一方,は発散(振動)する.
(c)
とする. は明らか.
とすると, より部分和部分列は収束.一方でから,は発散する.

2.6 More on Series

2.6.2 Alternating series test

Proposition 2.6.2 (Alternating series test)

は単調減少する正数列とすると
$$\sum (-1)^n x_n$は収束する
proof. 略

2.6.3 Rearrangements

数列の順番を勝手に入れ替えたりカッコをつけたりすると,極限の存在が変わったり,収束先が変わったりする.このような問題を起こさない級数の条件を考える.

Definition 2.6.0

全単射なについて, を級数の並び替えという.

Proposition 2.6.3

に絶対収束する級数とすると,の任意の並び替えはまたに絶対収束する.
prof. 略

2017年5月25日木曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 五日目 数列の極限と部分列の関係

CC BY-NC-SA 3.0

Limit superior, limit inferior, and Bolzano-Weierstrass

有界かつ発散する数列にもある種の極限を定義する.

2.3.1 Upper and lower limits

有界な数列から単調な部分列を取り出し,その極限をもとの列のある種の極限とする方法.

Definition 2.3.1

を有界列とする.

とすると,明らかには講義単調減少し,有界. は講義単調増加し,有界.よって極限が存在する.

とする.非有界な数列についても,を許せばが定義される.収束列ではは一致する(Th 2.3.5).

Proposition 2.3.2

は有界でとする.
(i) は有界で単調減少し, は有界で単調増加する.
(ii)
(iii)

proof.

(i) のみ示す. だから上に有界. 下に非有界とすると, このときこれはの有界性に反する.また, 一般にだから,は単調減少する. も同様に示せる.
(ii) 有界で単調増加/減少する列はその上限/下限に収束するから成立
(iii)
から, が常に成立.よって

Theorem 2.3.4

が有界列とすると, 部分列があって,

同様に部分列があって,

が成立する.

proof.

のみ論じる.
とする. .
の部分列を帰納的に定義する.
1. とする.
2. が決まっているとき, を満たす最小のとする.
ここで,かつより, 任意の

が成立する.(のときは最左辺はだから結局成立する)
と同じ極限に収束することを示す. に収束するから,その部分列に収束する.よって,

さらに, なるも存在する.とすると,

以上により示せた.

2.3.2 Using limit inferior and limit superior

Theorem 2.3.5

を有界列とする. が収束する .
またこのときが成立.
proof. 略

Proposition 2.3.6

の部分列とすると,

proof. 略

Theorem 2.3.7

有界列に収束する任意の部分列がに収束する
proof.

()
それ自体やK-tailもの部分列だから,成立
()
仮定
部分列の定義を思い出せば, は単調増加する自然数から自然数への写像だから,であって, . よって成立

2.3.3 Bolzano-Weierstrass theorem

Theorem 2.3.8 (Bolzano-Weierstrass)

が有界列であれば, 適当な部分列は収束する.
proof.

(が1次元の実数列であるとき)Th.2.3.4より成立 (区間縮小法を使わない証明!)

しかしこの証明はが二次元以上の点列のときは使えないので,区間縮小法の証明もある.(略)

2.3.4 Infinite limits

非有界な列にもを認めると,発散する数列にある種の極限を定義できる.

Definition 2.3.9

が正の無限大に発散する
負の無限大への発散も同様.

Example 2.3.10


これは無限大に発散しないが, .

Linear Algebra (D. Cherney et al.) 一日目

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 1. What is Linear Algebra?

線形代数はベクトルと線形関数の研究である

Chapter 2. Systems of Linear Equations

ガウスの掃き出し法の話題

Chapter 3. The Simplex Method

線形連立不等式の話題.最適化やオペレーションリサーチに応用できる.

3.1 Pablo’s Problem

Example 35. (Pablo’s problem restated)

(Pabloは例に出てくる栄養士の名で,アルゴリズムの開発者とかではない)
のもとで, を最小にするを求める.

3.2 Graphical Solutions

fig.1
fig.1 条件を満たす点を影に塗ったグラフ

を最小にするには,を満たし他の条件を満たす点を探せばよいのは明らかで,この場合は四角形の頂点.このように, 最適解が条件を満たす図形の頂点となるのがlinear programming problemの特徴である.

enter image description here
fig.2 を追加した図

3.3 Dantzig’s Algorithm

Problem 38

線形関数 , ()のもとで最大化する.
この問題は拡大係数行列に行基本変形を施して解ける.

Example 39

のもとで最大化するというのは,が満たされているなら,
を最大化するのと同じこと.をうまく選んで簡単な問題に変形する.

を,

をみたしつつ最大化する.
の定義はと同値.

こうして,問題から最後の行が最大化すべき関数で, 他の行が制約条件であるような拡大係数行列を作れた.

Example 41 (Performing EROs)

上の拡大係数行列で, 最後の行のの係数の部分,つまりの部分がすべて非負で,かつ0が多くなるように行基本変形を施すと,

となって,最後の行の意味は. だから, 最大の.
としたときも制約条件を満たせるか確かめて計算終了.

2017年5月24日水曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 四日目 数列の極限の性質

CC BY-NC-SA 3.0

2.2 Facts about limits of sequences

2.2.1 Limits and inequalities

Lemma 2.2.1

がすべてので成り立つ数列があり,が同じ極限に収束するとき,もその極限に収束する
proof. 略

Lemma 2.2.3

がすべてので成り立ち,そぜぞれに収束するとき,
proof. 略

Corollary 2.2.4

(i) で極限が存在すれば
(ii) で極限が存在すれば

2.2.2 Continuity of algebraic operations

Proposition 2.2.5

がそれぞれに収束するとき
(i)
(ii)
(iii)
とくになら
(iv)
proof. 略

Proposition 2.2.6

に収束するとき
proof.

のときは明らか
のとき,

は有限の正の値なので,

Proposition 2.2.7

に収束するときも収束しその極限は.
proof. 略

2.2.4 Some convergence tests

Proposition 2.2.10

0に収束する列があって, なるとき, .
proof.

仮定より
ここで を考えれば,が言える.

Proposition 2.2.11

について
(i)
(ii) 発散
proof. 略

Lemma 2.2.12 (Ratio test for sequences)

についてが存在するとき,
(i) L < 1 なら
(ii) L > 1 なら は非有界で発散する.
proof. 略

Basic Analysis (Jiri Lebl) 三日目 数列とその収束の定義

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 2 Sequences and Series

2.1 Sequences and limits


Definition 2.1.2

数列に収束する


Example 2.1.4


proof.
任意のについて,アルキメデス性から, なるがある,このをそのまま使えば確かに成立.


Proposition 2.1.6

収束列の極限は一意である.
proof.
の極限とする. なら, とする.仮定より,なるが存在する.一方このについて これはに収束するという仮定に反する.背理法によって示せた.


2.1.1 Monotone sequences

Definition 2.1.9 単調列(monotone sequence, monotonic sequence)

が単調増加(increasing)

が狭義単調増加(strictly increasing)

単調減少,狭義単調減少も同様に定義する.


Theorem 2.1.10

単調列が有界である は収束する.
proof.

単調増加として一般性を失わない.有界性よりが存在する.上限の定義から

ならばであって, が成立.よってに収束する.


Prop 2.1.7 (略)


2.1.2 Tail of a sequence

Definition 2.1.14

について,-tail () あるいは単にtail とは,あるいはのことである.

Proposition 2.1.15

について,以下の3つは同値.
(i) は収束する
(ii) は任意ので収束する
(iii) はあるで収束する

proof.
(i) (ii)

極限をとする.
(i)
このを固定して考えたとき, よって示せた

(ii) (iii)

自明

(iii) (i)

(iii)
このを固定して考えたとき, とすると,
よって示せた

以上により命題が示せた.


2.1.3 Subsequences

Definition 2.1.16

を数列とする, 狭義単調増加する自然数列とする.このとき

の部分列という.

Proposition 2.1.17

に収束する収束列とすると,任意の部分列はに収束する
証明略

2017年5月22日月曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 二日目 実数の性質

CC BY-NC-SA 3.0

1.2 The set of real numbers

有理数からの実数の構成は省略して,完備な順序体であるとする.

1.2.2 Archimeddean property

Theorem 1.2.4

(i) and (Archimedean property)
(ii) and ( is dense in )

1.2.3 Using supremum and infimum

Definition 1.2.9

(i)
(ii) が上に非有界
(iii) が下に非有界

Proposition 1.2.6

と有界な集合があるとき, と定義すると,それぞれの上限,下限はと,の上限,下限の和や積になり,ならば上限と下限が逆転する.

1.2.4 Maxima and minima

Definition

について,ならばと書きmaxima(最大値)と呼び, ならばと書きminima(最小値)と呼ぶ.

1.2.5 Exercise

Exercise 1.2.13 (Bernoulli’s inequality)

proof.
n=1 のときは明らかに成立.
(帰納ステップ)

から,n=nで成立すると仮定するとn=n+1でも成立する.
数学的帰納法で示せた.

1.3 Absolute value


で絶対値を定義する.

Proposition 1.3.2 (Triangle Inequality)

Corollary 1.3. 4

Definition 1.3.6

が有界関数

1.3.1 Exercise

Exercise 1.3.7

, . このとき

proof.
をそれぞれの上界とすると,よってよって示せた

2017年5月21日日曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 一日目 実数の定義 1

Chapter 1. Real Numbers

実数を公理的に定義する

Definition 1.1.1

(i)
(ii) and
(iii) and
(iv) or
これらの命題を(i): 反射律 (ii): 推移律 (iii): 対象律 (iv): 全順序律という.

を順序関係とする順序集合である
(i),(ii),(iii),(iv)をすべて満たすとその関係の組を全順序集合という.
(本では の関係を考えていたが,こっちのほうが標準的だろう.)

Definition 1.1.2

全順序集合と部分集合において, なるがあるとき,の上界といい, は上に有界という. またの上界であり,かつならの上界であるとき,の上限といい,と書く. 下界,下への有界,下限もほとんど同様に定義し, の下限を と書く.

Definition 1.1.3

の任意の上に有界かつ空でない部分集合が常に上限を持つという性質をleast-upper-bound propertyとかcompleteness(完備性) という.

Example 1.1.4

の上限は とみると だが, から,有理数全体の集合は完備でない.

Definition 1.1.7

が順序体である
は体であり,かつ
(i)
(ii)