2017年6月14日水曜日

Linear Algebra (D. Cherney et al.) 7日目

CC BY-NC-SA 3.0

7.3 Properties of Matrices

線形関数が行列(と基底)によって表現できることがわかった.行列の性質を知ることで線形関数の理解を深めることができる.

Definition

行列は実数あるいは複素数を

と並べたもの.成分と呼ぶことにする.
の第行といい,
の第列という.

のような行列を特に縦ベクトルとよび,

のような行列を特に横ベクトルと呼ぶ.

Example 82

gif画像形式ファイルは,各要素がピクセルの色を表現する行列.

Example 83

グラフを行列で表現する.グラフとは,頂点(vertice)の集合と,頂点を結ぶ辺(edge)の集合のこと..と,頂点を自然数で表すとき,頂点から出てを終点とする辺の本数を成分とする行列を作れば,行列でグラフを表現できる.このようにしてグラフを表現する行列を隣接行列(adjacency matrix)という.

行列の集合をと書く.

(和書洋書をいくつか見てもこうした記法は見られないので,以後,成分を, 行列の集合をと書くことにする.)

Definition 行列の積

があるとき,の積を定義できる.
とすると,

横ベクトルと縦ベクトル があるとき,積
と,横ベクトルと縦ベクトルを表すと,

が成立する.また,があってと縦ベクトルでかいて,とすると,

Theorem 7.3.1

行列と縦ベクトルがあるとき,なら,のすべての行とは直交する.

Remark

の列たちのなすベクトル空間をの列空間といい,行たちのなすベクトル空間をの行空間という.

7.3.1 Associativity and Non-Commutativity

行列について,積が定義できるなら
一方では一般には成り立たない.

7.3.2 Block Matrices


があるとき,

として,と書ける.
と書けて,が定義できていれば,

が成立する.このように行列を小さな行列を要素とする行列(blocks)に分割して行列の積を計算したりできる.

7.3.3 The Algebra of Square Matrices

正方行列にはべき乗が自然に定義できて,のような多項式に自然に代入できる.

7.3.4 Trace

Definition

traceは,その対角成分の和.すなわち

Theorem 7.3.3

traceは交代的.つまり

7.5 Inverse matrix

Definition

が可逆(正則,非特異)である

の部分集合で,可逆な行列の集合を一般線形群といい,と書く.

7.5.1 Three Properties of the Inverse

7.5.2 Finding Inverses (Redux)

大規模な行列の逆行列を求めるに当たって効率の良いアルゴリズム.
とし,という線形連立方程式を解く.
が存在するから,となって,解は一つに定まる.
となるように縦ベクトルを定め,とすると,

が成立する.
よって,という連立方程式を解けば良い.拡大係数行列は

という形で,基本変形を繰り返して

という形にしたとき,に等しい.

7.5.3 Linear Systems and Inversees

が存在するとき,

7.5.4 Homogeneous Systems

Theorem 7.5.1

正方行列が可逆以外の解をもたない
proof.

()
に左からをかけて,
()
仮定より,は基本変形によって単位行列に変形できる.このとき7.5.2の方法でを計算できる.

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