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2017年6月17日土曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 21日目 関数列の収束

CC BY-NC-SA 3.0

大概の本ではこの章の議論は数列の議論の直後にやる一方,関数のノルム収束は扱われないことが多い.

Chapter 6. Sequences and Functions

この章ではS:a set, {fn:SR},f:SRとする.

6.1 Pointwise and uniform convergence

6.1.1 Pointwise convergence

Definition 6.1.1. (各点収束)

{fn:SR}nf:SRにpointwise converge(各点収束)する
[xS ϵ>0 N(x,ϵ)s.t.nN(x,ϵ)|f(x)fn(x)|<ϵ]
つまり、各xを固定したとき、数列{fn(x)}f(x)Rに収束するということ.

Example 6.1.4

fn(x)=sin(xn)とする.これはx=kπ  (kN)以外のすべての点でいかなる関数にも各点収束しない.
proof.

x=kπ  (kN)において,fn(x)=0が常に成立するので,0に収束する.
それ以外の点でいかなるNをとっても,n,m>Nで,π/6<mod(nx,2π)<5π/6, 7π/6<mod(nx,2π)<11π/6を満たすn,mが存在する.
このとき,sin(nx)sin(mx)>1が成立する.よって{sin(nx)}n  (xπN)はコーシー列でないので,収束しない.

6.1.2 Uniform convergence (一様収束)

Definition 6.1.6

{fn}nfに一様収束する
[ϵ N(ϵ)N s.t.nN(ϵ)x|fn(x)f(x)|<ϵ]

Proposition 6.1.7

{fn}fに一様収束するとき,{fn}fに各点収束する.
proof.

定義より明らか.

Example 6.1.8

fn(x)=x2n[1,1]で各点収束するが一様収束しない.
proof.

f(x)={0   (x(1,1))1   (x{1,1})
に各点収束するのは明らか.
一方,あるfに一様収束すると仮定する.ϵ=1/2とすると,x(1,1)で,
|fN(x)f(x)|=|fN(x)|=x2N<1/2 となるNxによらず存在する.
両辺でlogをとると,2Nlogx<log2logx<log2/(2N)<0
log2/(2N)<y<0なるyがあって、 ey(0,1)である. x=eyとするとfN(x)1/2となり,矛盾.背理法によって{fn}が一様収束しないと示せた.

6.1.3 Convergence in uniform norm

有界関数にある実数(uniform norm)を与える.uniform normは恒等関数0からのその関数の距離を表している(多くの本ではノルムのことを長さの一般化としているが,原点からの距離と長さを同一視するのは自然かも).関数列から関数のノルムの実数列を作って,収束性を議論する.

Definition 6.1.9

有界なf:SRのuniform norm(sup norm, infinity norm)を
||f||sup=||f||=||f||u:=sup{|f(x)|:xS}
と定める.

Proposition 6.1.10

{fn}fに一様収束する

limn||fnf||u=0
proof.

()
ϵ>0nNx |fn(x)f(x)|<ϵ/2が成立する.
ここでsupの性質より|fn(x)f(x)|||fnf||ϵが常に成立するから,||fnf||0がたしかに成立.
()
x  |fn(x)f(x)|||fnf||uから明らか.

Example 6.1.11

fn:[0,1]Rfn(x)=nx+sin(nx2)nとする.
||fnx||U=sup{|nx+sin(nx2)nx|}=sup{|sin(nx2)|n}sup{1/n}=1/n0
よって{fn}f=xに一様収束する.

Definition 6.1.12

{fn}は有界な関数列とする.この関数列が”Cauchy in the uniform norm” or “uniformly Cauchy”である
[ϵ N s.t. m,kN||fmfk||u<ϵ]

Proposition 6.1.13

{fn}は有界関数の列とする.{fn}がCauchy in the uniform normである
[N s.t. nN||fmfk||m<ϵ]
proof. 略

6.1.4 Exercises

Exercise 6.1.9

{fn:[0,1]R}のそれぞれの関数が単調増加とする.
fn(0)=0,  limnfn(1)=0なら,{fn}f=0に一様収束すると示せ.
答案.

||fn0||u=supx[0,1]{|fn(x)|}=|fn(1)|(単調増加)0(n)
よって示せた

Exercise 6.1.10

{fn:[0,1]R}について,fn(xn)=1をみたす各要素が異なる数列{xn}が存在するとき,以下の命題の真偽を調べよ
(a) 0に各点収束するような{fn}がある
(b) 0に一様収束するような{fn}がある
答案.

(a)
fn(x)={1  (x=1/n)0  (x1/n)
とすると,任意のx>0について,n>1/xfn(x)=0
またx=0では常にfn(x)=0.よって{fn}0に各点収束していて,命題(a)は真.
(b)
||fn0||u=sup{|fn(x)|}|fn(xn)|=1
が必ず成り立つから,命題(b)は偽.

Exercise 6.1.11

連続関数h:[a,b]Rを固定し,
f(x):={h(x)  (x[a,b])h(a)(x<a)h(b)(x>b)
とする.まずf:RRが連続であると示し,さらに[a,b]を定義域とするfn
fn(x):=12ϵx+ϵxϵf,  ϵ=1/n
としたとき,fnhに一様収束することを示せ.
答案.

fの連続性は明らかである.
x(a,b)について,nが十分大きければ[xϵ,x+ϵ][a,b]であって,f(x)=h(x)  (x[xϵ,x+ϵ]) だから,fn(x)=0となる.
x=aであれば,
fn(a)=12ϵ(aaϵ+a+ϵa)f=12ϵ[ϵh(a)+a+ϵah]=h(a)2+12ϵa+ϵah(x)
hの連続性から,ζ>0に,|xa|<e|h(a)h(x)|<ζなるeがある.
h(a)2ζ2=12ea+ea(h(a)ζ)<12ea+eah<12ea+ea(h(a)+ζ)=h(a)2+ζ2
したがって,n>1/eならば|fn(a)h(a)|<ζ/2.
x=b の場合も同様にn>1/eならばfn(b)h(b)|<ζ/2が言える.
以上より,任意のζ>0に,n>Nならばx  |fn(x)h(x)|<ζなるN(=1/e)が存在する.
よって確かにfnhに一様収束する.

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