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2017年7月3日月曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 32日目

CC BY-NC-SA 3.0

8.5 Inverse and implicit function theorem

という距離空間上のがcontraction(縮小)写像である
が常に成り立つようながある.

がcontractionでがcompleteならば,ただ一つのfixed point(不動点)が存在することはChap.7 でみた.
関数がある点で微分可能であるというのは,その点の近くではその関数がその微分係数による線形写像の様に振る舞うということである.関数がある点で微分可能で,その周りでその導関数が可逆なら,もとの関数もまた局所的に可逆であるというのが,inverse function theoremの主張するところである.

Theorem 8.5.1 (Inverse function theorem)

で,が連続微分可能とする.についてで,が可逆(すなわち)であるなら,があって,.さらにが全単射であり,逆関数は連続微分可能であって,
がが成立する.

proof.

とする.は連続だから,を中心とした開球があって,

が成立する.はにおいて可逆である.
があるとき,で,

とする.は全単射だから,.chain ruleにより

したがってに

は開球なので,凸.よって

これは,はで縮小写像であることを意味している.fixed point theorem, Theorem 7.6.2の前提はなので,とは限らないからfixed point の存在は言えないが,たかだか1つ存在するということは言える.したがっては単写である.
とする.が開であることを示さない(もうめんどくさくなった)

微積分の基礎の復習はここまで.以後は機械学習とプログラミングに注力しよう.(広すぎ)

2017年6月29日木曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 31日目

CC BY-NC-SA 3.0

8.3 The derivative

この節で,はで,開集合とする.

8.3.1 The derivative

において,

が存在するとき,それをのにおける微分係数というのだった.微分係数が存在すると仮定すると,

が成立する.であることに着目すると,はの近くでを近似する線形作用素と言える.この考えを多次元の場合に拡張する.

Definition 8.3.1

とする.
がでdifferentiable(微分可能)

とか,と書き,をのにおけるderivativeという(訳語は色々あるが,微分係数か,単に微分と呼ぶことにする).がで微分可能なとき,単にはで微分可能であるという.

とする操作を微分するという.が存在するならそれは一意(Prop 8.3.2)だから,
は関数と考えることができて,の導関数と呼ぶ.

Proposition 8.3.2.

について,で,がともにのにおける微分係数なら,である.
proof.


ここで,とするとであり,,最左辺は,と書ける.
の作用素ノルムがだから,,したがって.

Proposition 8.3.5.

がで微分可能なら,はで連続である.
proof.

略

Theorem 8.3.6 (Chain rule)

, open. であって,
はで,はで微分可能で,それぞれの微分係数をとするとき,
はで微分可能で,その微分係数はである.
proof. 略

8.3.2 Partial derivatives

Definition 8.3.7

について,

が存在するとき,をのにおけるに対するpartial derivative(偏微分係数)という.
であるとき,のにおけるに対する微分係数をと書く.

Proposition 8.3.8

がで微分可能であるとき,
であるが,これをの標準基底を使って表現するとき,

と書ける. これは

ということでもある.
であるとき,

である.
proof.

を固定する.

において,微分可能性より右辺はに近づく.よって

が成立する.と書くとすると,

が存在して,に等しい.

一方で,それぞれの偏微分係数が存在しても,が微分可能であるとは限らない.

8.3.3 Gradient and directional derivatives

が微分可能とする.のgradient(勾配)を

と定める.はナブラと読む.
が成立する.(行列ベクトルとベクトルベクトル)
が微分可能でであるとき,このような関数とその像をcurve(曲線)という.とすると,
が定義できて,は微分可能である.

が成立する.

にある点が速度でベクトル方向に移動しているとき,の変化率を考える.
とすると,これはその点の軌跡を表す曲線であって,である.
であって,そのchain ruleから

が成立する.最左辺をと書くことにする.
とすると,Cauchy-Schwartzの不等式から

統合はがの定数倍である時成立し,

である.このように,gradientはある関数が最も早く増大するような方向を向いている.

8.3.4 The Jacobian

Definition 8.3.9

が微分可能であるとする.このとき,のJacobian(ヤコビアン)を,

と定める.Jaobianは

と書かれることがある.行列式が幾何学的に面積や体積を表すのと同様に,Jacobianは写像がの元をに写すとき,もとの元に比べて像はどれほど引き伸ばされたり,押しつぶされているかの指標になる.

2017年6月28日水曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 30日目

CC BY-NC-SA 3.0

8.2.2 Matrices

有限次元ベクトル空間があって,それぞれの基底をとする.を行列によって表現する.
はの基底に対する像によって決まるから,

が成立するようにを定めると,

が成立する.(行列の基本用語の生命は省略する)

行列と線形写像は1体1に対応する.基底を変えれば,行列は異なった線形写像を表現することになる.
で,標準基底を用いるとき,Cauchy-Schwartzの不等式から
任意のに,

したがって,が成立する.この右辺をのnormと考えることもできて,Frobenius norm といい, と書く.

Proposition 8.2.7

が距離空間において連続関数として,の要素を行列として並べると,はである連続写像である.逆に,が連続である時,それの行列表現の要素は連続である.

8.2.3 Determinants

行列式の議論だが,面倒なので大半は省略して重要な事実を列挙する.

  1. \det I = 1
  2. はそれぞれのに対して線形
  3. の2つの列を交換してとしたとき,
  4. が相等しい列をもつとき,
  5. が0ベクトルを列に持つとき,
  6. は連続写像
  7. で,可逆なとき,
  8. したがって
  9. 性質2~5は列を行と呼び変えても成立
  10. 行列式は基底によらない. を基底の変換行列として,は全単射で可逆.ゆえに

8.2.3 Exercises

Exercise 8.2.11

を多項式空間とし,を微分作用素とする.
をにノルムを入れる.
a) これが確かにノルムであることを示せ.
b) の作用素ノルムは非有界であると示せ.

答案.

a)
(i) は明らか.
(ii)
(iii) が成立.
以上より示せた.
b)
である.ゆえ,よって確かには非有界

8.2.12 (Prop 8.2.4の証明)

は有限次元ベクトル空間で,をそのノルムとする.
a) , は連続と示せ.
b) であるとき,を常に満たすが存在することを示せ.
c) ならばなるが存在すると示せ.
d) (c)を使って,が有限次元ベクトル空間でならを示せ.

答案.

b) は超球面で,閉集合である.さらに有界で有限次元だからコンパクトであって,a)で示した連続性より,最小値,最大値がには存在する.
c) であるが存在するとき,
は基底だから,.よっては非有界となり,に反する.

8.2.13

をを基底とするベクトル空間で,ノルムが入っているとする.
のノルムは標準ユークリッドノルムとする.
a) 任意のにであるがあると示せ.
b) をのノルムとするとき,があって,任意のにが成り立つことを示せ.
c) は,を距離として開集合なら,を距離としても開集合であることを示せ.

答案.

a)
とする.で,から,が成立する.とすれば,上で抑えられることもわかる.
b)
a)の証明の過程で,としたが,それぞれでノルムを使ったときのをとするとき,


が成立する.任意のはと書けて,と新たに定めると,
が成立する.したがって,

が成立する.
c)
とする.
a)より, なるが存在する.
で,仮定よりがによって開集合であるとすると,ならばなるが存在する.ならばであるから,によってもは開集合である.

2017年6月27日火曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 29日目

CC BY-NC-SA 3.0

8.2 Analysis with vector spaces

8.2.1 Norms

Chapter 7では距離空間について論じた.距離空間を導く概念にnorm(ノルム)がある.集合にnormを定めると,そのnormから距離関数を導ける.

Definition 8.2.1

をベクトル空間とする.が次の(i)~(iii)を満たすとき,それをノルムという.
(i) が常に成立し,特に
(ii) として,
(iii)

における標準ノルムを定める前に,標準ドット積を定める.
について,

を標準ドット積という.標準ドット積の一般化が内積である.標準ドット積をにおける標準内積とも呼ぶ.Euclidean normを,

と定める.には様々なノルムが定義できるが,単にノルムというとこれのことを指す.

これがノルムの条件を満たすことを示す.(i),(ii)は明らかで,(iii)は前章で示したが,重要なのでもう一度証明することにする.

Theorem 8.2.2 (Cauchy-Schwartz inequality)

について,

が成立.
proof.

の少なくとも一方がなら明らか.とする.
と書けるとき,.そうでない場合,

は常に正になるから,この方程式は実数根を持たない.ゆえにに関して解の公式を使って,

が成立する.根をとれば,Cauchy-Scwartzの不等式になる. 以上より示せた.

さて,を示す.両辺を二乗し,

を言えばよい.整理すれば直ちにCauchy-Scwartzの不等式と同値になる.

Definition


はにおける標準距離関数である.
一般に,ベクトル空間とノルムがあるとき,の差はとして関数を定めるとは上の距離関数となる

Definition 8.2.3

とする.

この演算子をのoperator norm(作用素ノルム)という.とも書く.
だから,

である.したがって

が成立する.また,である.

今はベクトル空間が有限次元であるときのみ考えるが,無限次元ではかなり話が違ってくるので注意する.

Proposition 8.2.4

: 有限次元ベクトル空間とする.
とすると,であり,かあつはをLipschitz定数としてLipschits連続(一様連続)である.

proof.

で,ノルムは標準ノルムとする.
をの標準基底とし,をと書ける.
であって, が成立する.よって

が三角不等式とSchwartzの不等式より成立する.

さらに,について,とすると,に

すなわちはをLipschitz定数としてLipschitz連続である.

Proposition 8.2.5

をノルムを入れた有限次元ベクトル空間とする.
(i) とすと,

(ii) とすると,

proof.

(i)

よって. 後半もほとんど同様.

(ii)

よって成立.

Proposition 8.2.6

を有限次元なベクトル空間とする.を可逆な作用素の集合とする.
(i) で,ならばは可逆である.
(ii) は開集合で,は上の連続関数である
proof.

(i)
は線形だから,

故に

であればであり,仮定より
が成立する.から任意のにである.すなわちは単車であり,が単車で,hは有限次元だから,は全単射.よって可逆.
(ii)
を固定する.はに近く可逆とする.つまり,であるとする.このときとすると

が成立する.したがって,である.

が成立するから,によって.たしかに逆関数をとる操作は連続である.

2017年6月26日月曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 28日目

CC BY-NC-SA 3.0

8.1.4 Convexity

Definition (Convex set)

をベクトル空間とする.がconvex set(凸集合)である

Example 8.1.19

について,

を満たすの集合をとすると,はconvexである.
proof.

とする.
は明らかであり,

よって示せた.

Proposition 8.1.20

を凸集合の集合族とすると,

もまた凸集合.

proof. 略

Proposition 8.1.21

がベクトル空間間の線形写像とし,を凸集合とすると,もまた凸集合である.
proof.

を任意に取る.なるがある.は凸集合だから,任意のにであって,
したがって確かには凸集合である.

Definition convex full(凸包)

について,のconvex full(凸包)を

と定める.つまり,のconvex fullとは,を含む最小の凸集合である.

2017年6月25日日曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 27日目

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 8. Several variables and partial derivatives

8.1 Vector spaces, linear mappings, and convexity

8.1.1 Vector spaces

次元ベクトルを
と書くことにする.本質的にはは縦ベクトルとする.
やその部分集合で定義された関数を考察するが,多くの場合定義域はベクトル空間である.

Definition 8.1.1

には2つの演算,加算とスカラー倍が定義されていて,どちらの演算にも閉じているとき,を(real) vector spaceという.
vector spaceの元をvectorという.

以後,はすべてベクトル空間とする.

Example 8.1.4

は,
に,,
に,
と演算を定義すればベクトル空間となる.

Example 8.1.5

多項式のなす集合をとする.演算をEx. 8.1.4と同様に定義すると,はベクトル空間となる.は無限次元のベクトル空間である.

8.1.2 Linear combinations and dimension

Definition 8.1.6

をベクトル空間とする.
,があるとき,

をのlinear combination(線型結合)という.
について,の有限な部分集合のつくるすべての線形結合の集合をのspan(はる空間)といい,と書く.

Example 8.1.7

とすると,

であって,つまり原点とを通る直線である.

Proposition 8.1.9

任意のについて,はまたベクトル空間である.

Definition 8.1.10

がlinearlyl independent(線形独立)

線形独立でないとき,linealy dependentという.
が線形独立かつであるとき,をのbasis(基底)という.
のうち本のベクトルを線形独立になるように選べるが,本のベクトルを線形独立となるように選べないとき,は-dimension(次元)であるという.任意のに,かならず本の線形独立なベクトルが選べるとき,の次元は無限次元であるという.

Proposition 8.1.11

がの基底である時,の任意のベクトルは,

と一意に書ける.
proof.


と書けるとすると,

線形独立性から,.よって示せた.

Definition

について,はの基底である.この基底をのstandard basis(標準基底)という.

8.1.3 Linear mappings

この節でははベクトル空間とする.
について,がやでないとき,をfunction(関数)ではなくmapping(写像)とよぶことが多い.

Definition 8.1.13

がlinear(線形)である

をと書くことにする.が線形であるとき,はlinear operator(線形作用素)であるという.からへの線形写像の集合をと書き,を特にと書く.

Proposition 8.1.14

がをもつとき,もまた線形である.
proof.

は全単射だから,について,なるが必ず存在する.


よって示せた.

Proposition 8.1.15

はの基底における値がわかれば完全に決定できる.また,をの基底とするとき,はに自然に拡張できる.

proof.

有限次元空間のみ考える.
をの基底とする.を定めるとが一意に決まるというのが命題の主張である.
はと書ける.線形性から

が成立して,たしかにはによって一意に定まる.後半はもはや明らかだろう.

Proposition 8.1.16

は有限次元で,その上の線形作用素が単射である は全射
proof.

をの基底とする.が単射であるとき,
の解を考えれば,が一次独立であることがわかる.もの基底だから,の任意の点はの線型結合で書ける.よっては全射である.
を全射とする.はを張る.
が成立するなら,.すなわちならば

Proposiiont 8.1.17

が有限次元なら,もまた有限次元のベクトル空間である.

proof. (Exercise 8.1.11)

Ex. 8.1.5と同じ演算を導入して,ベクトル空間であることは明らかなので,有限次元であることを示す.
の基底をそれぞれとする.

なる作用素たちを定める.がを張ることを示せばよい.
とする.Prop.8.1.15から,によっては決定される.
はベクトル空間だから,はそれぞれの線型結合で書ける.

となるようにを定めると,任意のについて,

が成立する.すなわち,

と書ける.したがって確かにであり,以上より命題が示せた.

2017年6月19日月曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 23日目 距離空間上の点列の極限

CC BY-NC-SA 3.0

7.3 Sequences and convergence

は距離空間とする.

7.3.1 Sequences

Definition 7.3.1

上の点列とはという写像.をと書く.またをとも書く.
が有界である

部分列は数列の部分列と同じように定義する.

点列の収束は数列の収束の一般化で,数列の場合は絶対値を距離としたのを,その距離空間での距離に置き換えただけで,したがって殆どの数列の収束に関する定理は点列の場合でも成立する.

7.3.2 Convergence in Euclidean space

この節では,距離はすべてユークリッド距離とする.

Proposition 7.3.7

について,と書くと,
が収束する 任意のに が収束する.

proof.


とする.任意のになるが存在する.
あるを固定すると,

が成立するから,はに収束する.
()
任意のに,なるが存在する.
が存在して,から,たしかに.

7.3.3 Convergencec and topology

Proposition 7.3.8

とする.
の任意の開近傍について,ならばなるがある.
proof. 略

Proposition 7.3.9

は閉集合で,がに収束するなら.
proof. 略

Proposition 7.3.10

で,
なるが存在する.
proof.


とProp. 7.3.9から成立

Prop. 7.2.20から,が存在する.の極限はである.

2017年6月17日土曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 22日目 極限と積分の順序交換

CC BY-NC-SA 3.0

6.2 INterchange of limits

6.2.1 Continuity of the limit

Theorem 6.2.2

が連続関数の列で,に一様収束するとき,は連続.
proof. 略

6.2.2 Integral of the limit

Theorem 6.2.4

で,に一様収束するとき,で,.
proof.

を固定する.はに一様収束するから,なるがある.
このときであって,の有界性よりも有界.

が成立する.((1): Exercise 5.2.16, (2): のリーマン可積性)
は任意だから,のダルブー上下積分は一致し,リーマン可積分.
さらに,Prop 5.1.10から,で

より,がたしかに成立.

Example 6.2.5


を計算する.


より,はに一様収束する.
.

Example 6.2.6

リーマン可積分関数列の各点収束極限がリーマン可積分でない例

とすると,

に上で各点収束する.
これはリーマン可積分でない.

6.2.3 Exercises

Definition

を2次元数列とする.がこの数列のjoint limitである

このときをと書く.

Exercise 6.2.13

とする.任意のを固定したしたときが存在し,を固定したときも同様のことが言えるとする.このときを示せ.
答案.

とする.

が常に成立する.
を固定する.joint limitの存在よりなるが存在する.
から,十分大きなに.
以上より.
したがってとの極限は等しく,.
同様に.
以上により示せた.

Exercise 6.2.14

joint limitの存在は,やの存在を保証しない.

とする.
(a)が存在しないこと, が存在しないことを示せ.(したがっては意味を持たない)
(b) joint limitはであることを示せ.
答案.

(a)
を固定するとき,についてであって,とともに振動して収束しない.よっては存在しない.もう一方も同様.
(b)
とする.とすると,.よって示せた.

6.3 Picard’s Theorem

これまでに学んだすべてを使ってPicard’s theoremを証明する.ある常微分方程式のクラスの解の存在と一意性を与える定理であり,応用上も重要.wikipediaにあるピカールの定理とは違う定理で,Picard–Lindelöf theorem,Picard’s existence theorem or Cauchy–Lipschitz theoremとか呼ばれることもある.

6.3.1 First order ordinary differential equation

という形の微分方程式を1階上微分方程式という.ふつう初期値を予め与えて,その条件のもとで解く.がのみの関数なら,微積分学の基本定理を使えば良いが,そうでないときは解が存在するとは限らない(存在すれば一意).

6.3.2 The Theorem

Definition 6.3.1

を定義域とするを考える.でが連続
に収束する任意の列について,.
で連続なら,はで連続という.

Theorem 6.3.2 (Picard’s theorem on existence and uniqueness)

を有界閉区間とする.をの内部,とする.は連像で,2つめの引数についてリプシッツ連続とする.すなわち

このとき,あると,で微分可能なで,をみたすがただ一つ存在する.

sketch.

条件を満たすが存在すると仮定すると,と初期値を与えると微積分学の基本定理から

が成立する.右辺を近似して,極限で右辺の解に収束するような関数列を考える.この手法をPicard iterationといい, をPicard iteratesという.

proof.

として一般性を失わない(Exercise 6.3.3).なるが存在する.なるを一つ取る.とすると,.
から帰納的にを定める.
であるとき,はできちんと定義された関数であって(Exercise 6.3.2),がで連続ならもまたで連続(Exercise 6.3.1).

が存在して,はまた微積分学の基本定理よりで連続である.で

だから,のrangeはの部分集合.
こうしてを構成していく.が題意を満たすに収束することを示す.
がである関数に一様収束することを示す.に,

が任意のに成立し,だから,

であって,とすれば
として,が成立し,
.
だからがuniform Cauchyで,はであるに一様収束する(このようなは一意).
は連続関数の一様収束極限だから,連続であり,から,.
がたしかに与えられた方程式の解であることを示す.

で,から,はに一様収束する.
したがってで,

である.
微積分学の基本定理から,は微分可能で導関数は.また.

6.3.4 Exercises

Exercise 6.3.1

を区間とする.が2変数の連続関数で,が連続なら,も上連続と示せ.
答案.

での連続性を示す.
に収束するを任意にとる.の連続性からはに収束する.
はに収束するに含まれる数列であって,の連続性から任意のに
なるがある.
これはのでの連続性と同値.

Exercise 6.3.2

は有界な閉区間とする.が連続なら,は有界であると示せ.
答案.

非有界であるとして矛盾を導く.
を満たすようなが存在する.Bolzano-Weierstrassの定理(多次元)から,収束する部分列がある.その極限をとすると,は有限値.一方は発散する.これはの連続性に反する.背理法によって示せた.

Basic Analysis (Jiri Lebl) 21日目 関数列の収束

CC BY-NC-SA 3.0

大概の本ではこの章の議論は数列の議論の直後にやる一方,関数のノルム収束は扱われないことが多い.

Chapter 6. Sequences and Functions

この章ではとする.

6.1 Pointwise and uniform convergence

6.1.1 Pointwise convergence

Definition 6.1.1. (各点収束)

がにpointwise converge(各点収束)する

つまり、各を固定したとき、数列がに収束するということ.

Example 6.1.4

とする.これは以外のすべての点でいかなる関数にも各点収束しない.
proof.

において,が常に成立するので,に収束する.
それ以外の点でいかなるをとっても,で,を満たすが存在する.
このとき,が成立する.よってはコーシー列でないので,収束しない.

6.1.2 Uniform convergence (一様収束)

Definition 6.1.6

がに一様収束する

Proposition 6.1.7

がに一様収束するとき,はに各点収束する.
proof.

定義より明らか.

Example 6.1.8

はで各点収束するが一様収束しない.
proof.


に各点収束するのは明らか.
一方,あるに一様収束すると仮定する.とすると,で,
となるがによらず存在する.
両辺でをとると,
なるがあって、 である. とするととなり,矛盾.背理法によってが一様収束しないと示せた.

6.1.3 Convergence in uniform norm

有界関数にある実数(uniform norm)を与える.uniform normは恒等関数0からのその関数の距離を表している(多くの本ではノルムのことを長さの一般化としているが,原点からの距離と長さを同一視するのは自然かも).関数列から関数のノルムの実数列を作って,収束性を議論する.

Definition 6.1.9

有界なのuniform norm(sup norm, infinity norm)を

と定める.

Proposition 6.1.10

がに一様収束する


proof.

()
にが成立する.
ここでの性質よりが常に成立するから,がたしかに成立.
()
から明らか.

Example 6.1.11

をとする.

よってはに一様収束する.

Definition 6.1.12

は有界な関数列とする.この関数列が”Cauchy in the uniform norm” or “uniformly Cauchy”である

Proposition 6.1.13

は有界関数の列とする.がCauchy in the uniform normである

proof. 略

6.1.4 Exercises

Exercise 6.1.9

のそれぞれの関数が単調増加とする.
なら,はに一様収束すると示せ.
答案.


よって示せた

Exercise 6.1.10

について,をみたす各要素が異なる数列が存在するとき,以下の命題の真偽を調べよ
(a) 0に各点収束するようながある
(b) 0に一様収束するようながある
答案.

(a)

とすると,任意のについて,
またでは常に.よってはに各点収束していて,命題(a)は真.
(b)

が必ず成り立つから,命題(b)は偽.

Exercise 6.1.11

連続関数を固定し,

とする.まずが連続であると示し,さらにを定義域とするを

としたとき,がに一様収束することを示せ.
答案.

の連続性は明らかである.
について,が十分大きければであって, だから,となる.
であれば,

の連続性から,に,なるがある.

したがって,ならば.
x=b の場合も同様にならばが言える.
以上より,任意のに,ならばなるが存在する.
よって確かにはに一様収束する.

2017年6月15日木曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 20日目 Cauchyの主値

CC BY-NC-SA 3.0

Cauchy principal value (Cauchyの主値)

のような,普通には広義積分が収束しない場合にも与えられることがある値.

Definition

について,なる任意のと任意のに,がでリーマン可積分であるとき,

が収束するとき,これをCauchyの主値という.

Exercise 5.5.13

(a) を計算せよ
(b) が,(a)と異なることを示せ.
(c) ならば,を示せ
(d) を特異点に持ち,が存在するが,が存在しないようなを見つけろ
(e) が連続とする.が存在することを示せ

答案.

(a)
(b)

確かに(a)で得られた値と異なっている.
(c)
特異点として,任意のににおいては可積分で,

が常に成立するから.定積分と主値積分は等しい.
(d)
(a)で与えられたが求める条件を満たしている.
(e)
特異点は明らかにのみ.またで連続だから,任意のに,がでリーマン可積分である.微積分の基本定理(Second form)より,があって,はで連続だから
が存在することを言えば良い.


ビーンもうダメ

Exercise 5.5.14

は連続で,あるがあって以外の点はで常に0の値を取る.
(a)

はで定義されていることを示せ.
(b)
ならば,

を示せ.
答案.

(a)
ならばだから,積分区間をとそれ以下,それ以上の3つに区切れば,常に以外の区間での積分はとなり,