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2017年6月17日土曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 22日目 極限と積分の順序交換

CC BY-NC-SA 3.0

6.2 INterchange of limits

6.2.1 Continuity of the limit

Theorem 6.2.2

{fn}が連続関数の列で,fに一様収束するとき,fは連続.
proof. 略

6.2.2 Integral of the limit

Theorem 6.2.4

{fn}R[a,b]で,fに一様収束するとき,fR[a,b]で,baf=limbafn.
proof.

ϵ>を固定する.{fn}fに一様収束するから,nM|fn(x)f(x)|<ϵ2(ba)なるMがある.
このとき|f(x)|<ϵ2(ba)+|fn(x)|であって,fnの有界性よりfも有界.
¯bafba_f=¯ba(ffn+fn)ba_(ffn+fn)_(1)¯ba(ffn)+¯bafnba_(ffn)ba_fn=(2)¯ba(ffn)+bafnba_(ffn)bafn2ϵ2(ba)(ba)=ϵ
が成立する.((1): Exercise 5.2.16, (2): fnのリーマン可積性)
ϵは任意だから,fのダルブー上下積分は一致し,リーマン可積分.
さらに,Prop 5.1.10から,nM
|bafbafn|=|ba(ffn)|ϵ/2<ϵ
より,baf=limbafnがたしかに成立.

Example 6.2.5

fn=nx+sin(nx2)n,  limn10fn
を計算する.

|fnx|=|sin(nx2)n|<|1n|0
より,{fn}xに一様収束する.
lim10fn=10x=1/2.

Example 6.2.6

リーマン可積分関数列の各点収束極限がリーマン可積分でない例
fn(x):={1  (x=p/q,qnと書けるとき)0(otherwise)
とすると,
f:={1  (xQ)0(xQ)
[0,1]上で各点収束する.
これはリーマン可積分でない.

6.2.3 Exercises

Definition

{xn,m}を2次元数列とする.Lがこの数列のjoint limitである
[ϵ M n,mM|xn,mL|<ϵ]
このときLlim(n,m)xn,m=Lと書く.

Exercise 6.2.13

L=limn,mxn,mとする.任意のnを固定したしたときlimmxn,mが存在し,mを固定したときも同様のことが言えるとする.このときL=limn(limmxn,m)=limm(limnxn,m)を示せ.
答案.

yn=limmxn,mとする.
|xn,nyn||xn,nL|_(0)+|Lxn,m|_(1)+|xn,myn|_(2)
が常に成立する.
ϵ>0を固定する.joint limitの存在よりn,mN1(0),(1)<ϵなるN1が存在する.
yn=limmxn,mから,十分大きなm(2)<ϵ.
以上よりnN1|xn,nyn|<3ϵ.
したがって{xn,n}n{yn}={limmxn,m}nの極限は等しく,L.
同様にL=limm(limnxn,m).
以上により示せた.

Exercise 6.2.14

joint limitの存在は,limmxn,mlimnxn,mの存在を保証しない.
xn,m:=(1)n+mminn,m
とする.
(a)limmxn,mが存在しないこと, limnxn,mが存在しないことを示せ.(したがってlimn(limmxn,m), limm(limnxn,m)は意味を持たない)
(b) joint limitは0であることを示せ.
答案.

(a)
nを固定するとき,m>nについてxn,m=(1)n+m/nであって,mとともに振動して収束しない.よってlimmxn,mは存在しない.もう一方も同様.
(b)
ϵ>0とする.N=1/ϵとすると,n,mN|xn,m|<ϵ.よって示せた.

6.3 Picard’s Theorem

これまでに学んだすべてを使ってPicard’s theoremを証明する.ある常微分方程式のクラスの解の存在と一意性を与える定理であり,応用上も重要.wikipediaにあるピカールの定理とは違う定理で,Picard–Lindelöf theorem,Picard’s existence theorem or Cauchy–Lipschitz theoremとか呼ばれることもある.

6.3.1 First order ordinary differential equation

y=F(x,y)という形の微分方程式を1階上微分方程式という.ふつう初期値y(x0)=y0を予め与えて,その条件のもとで解く.Fxのみの関数なら,微積分学の基本定理を使えば良いが,そうでないときは解が存在するとは限らない(存在すれば一意).

6.3.2 The Theorem

Definition 6.3.1

UR2を定義域とするF:URを考える.(x,y)UFが連続
(x,y)に収束する任意の列{xn,yn}nについて,F(xn,yn)F(x,y).
xUで連続なら,FUで連続という.

Theorem 6.3.2 (Picard’s theorem on existence and uniqueness)

I,JRを有界閉区間とする.I0,J0I,Jの内部,(x0,y0)I0×J0とする.f:I×JRは連像で,2つめの引数についてリプシッツ連続とする.すなわち
Ls.t. y,zJ,xI   |F(x,y)F(x,z)|L|yz|
このとき,あるh>0と,で微分可能なf:[x0h,x0+h]Jで,f(x)=F(x,f(x)),f(x0)=y0をみたすfがただ一つ存在する.

sketch.

条件を満たすfが存在すると仮定すると,y0=f(x0)と初期値を与えると微積分学の基本定理から
f(x)=y0+xx0F(t,f(t))dt
が成立する.右辺を近似して,極限で右辺の解に収束するような関数列{fk}を考える.この手法をPicard iterationといい, {fk}をPicard iteratesという.

proof.

x0=0として一般性を失わない(Exercise 6.3.3).|F(x,y)|MなるMが存在する.[α,α]I, [y0α,y0+α]Jなるα>0を一つ取る.h:=min{α,α/(M+Lα)とすると,[h,h]I.
f0(x)=y0から帰納的に{fk}を定める.
fk1([h,h])[y0α,y0+α]であるとき,F(t,fk1(t))t[h,h]できちんと定義された関数であって(Exercise 6.3.2),fk1[h,h]で連続ならF(t,fk1(t))もまたt[h,h]で連続(Exercise 6.3.1).
fk(x):=y0+x0F(t,fk1(t))dt
が存在して,fkはまた微積分学の基本定理より[h,h]で連続である.x[h,h]
|fk(x)y0|=|x0F(t,fk1(t))dt|M|x|MhMαM+Lαα
だから,fkのrangeは[y0α,y0+α]の部分集合.
こうして{fk}を構成していく.{fk}が題意を満たすfに収束することを示す.
{fk}[h,h]である関数に一様収束することを示す.t[h,h]に,
|F(t,fn(t))F(t,fk(t))|L|fn(t)fk(t)|L||fnfk||u
が任意のn,kに成立し,|x|hα/(M+Lα)だから,
|fn(x)fk(x)|=|x0[F(t,fn1(t))dtF(t,fk1(t))]dt|L||fn1fk1||u|x|LαM+Lα||fn1fk1||u
であって,C:=Lα/(M+Lα)<1とすれば||fnfk||uC||fn1fk1||u
nkとして,||fnfk||uCk||fnkf0||uが成立し,
||fnfkuCk||fnkf0||uCkα.
C<1だから{fn}がuniform Cauchyで,{fn}[h,h]であるf:[h,h]Rに一様収束する(このようなfは一意).
fは連続関数の一様収束極限だから,連続であり,fn([h,h])[y0α,y0+α]から,f([h,h])[y0α,y0+α].
fがたしかに与えられた方程式の解であることを示す.
|f(t,fn(t))F(t,f(t))|L||fnf||u
で,||fnf||u0から,F(t,fn(t))F(t,f(t))に一様収束する.
したがってx[0,h]で,t[0,x]
y0+x0F(t,f(t))dt=y0+x0F(t,limfn(t))dt=y0+x0limF(t,fn(t))=limn(y0+x0F(t,fn(t))dt)=limnfn+1(x)=f(x)
である.
微積分学の基本定理から,fは微分可能で導関数はF(x,f(x)).またf(0)=y0.

6.3.4 Exercises

Exercise 6.3.1

I,JRを区間とする.F:I×JRが2変数の連続関数で,f:IJが連続なら,F(x,f(x))I上連続と示せ.
答案.

x0での連続性を示す.
x0に収束する{xn}Iを任意にとる.fの連続性から{f(xn)}f(x0)Jに収束する.
(xn,f(xn))(x0,f(x0))に収束するI×Jに含まれる数列であって,Fの連続性から任意のϵ
nN|F(xn,f(xn))F(x0,f(x0))|<ϵなるNがある.
これはF(x,f(x))x0での連続性と同値.

Exercise 6.3.2

I,JRは有界な閉区間とする.F:I×JRが連続なら,Fは有界であると示せ.
答案.

非有界であるとして矛盾を導く.
F(xn,yn)>nを満たすような{(xn,yn)}nI×Jが存在する.Bolzano-Weierstrassの定理(多次元)から,収束する部分列{(xnk,ynk)}kがある.その極限を(x0,y0)とすると,M:=F(x0,y0)は有限値.一方{F(xnk,ynk)}は発散する.これはFの連続性に反する.背理法によって示せた.

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