2017年6月23日金曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 26日目 縮小写像と不動点定理

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 7. Metric Spaces

は距離空間とする.

7.6 Fixed point theorem and Picard’s theorem again

fixed point theorem(不動点定理)をcontraction mapping(縮小写像)の場合に証明する.

Definition

をfixed point(不動点)に持つ

7.6.1 Fixed point theorem

Definition 7.6.1

contraction(or contractive map)である
-Lipschitz写像

Theorem 7.6.2 (Contraction mapping principle or Fixed point theorem)

は空でない完備距離空間で,は縮小写像とする.このときは不動点を唯一つ持つ.
proof.

とする.として無限点列が定まる.
 
が必ず成立する.したがってなら

故に,はCauchy列である.完備性から,に収束する.はcontractionだから-Lipschitzだから連続.連続性よりが成立し,の不動点.
さらに,の不動点であると仮定するとき,
が成立する.から,.距離の公理から,.一意性が示せた.

7.6.2 Picard’s theorem

この節では,距離空間は, の組を考える.この距離空間は完備である.
fixed point theoremを使って,古典的なPicard’s theoremを証明する.

という微分方程式で,初期値が与えられているとき,であるを考える.簡単のため,とか,とか書くことにする.Picard’s theoremは,Lipschitz連続性の過程のもとで,の近くで,述べたようなが存在することを主張している.

Theorem 7.6.3 (Picard’s theorem on existence and uniqueness)

はcompact区間とする.の内部として,が連続で,第二変数についてLipschitz連続である,すなわちがあって,

が成立する.
このとき,と微分可能な,があって,

が成立する.

proof.

としてよい.はcompactで,は連続だから,は有界.なるがある.なるについて,

とするとであって

とすると,は閉集合.
proof. (Exercise 7.6.1)

が距離で成立するなら,に一様収束するということ.
一様収束する連続関数列は連続だから,. よって成立.

a,はcompleteだから,はcompact.


とする.が連続なら,の関数として連続である.
proof. (Exercise 7.6.2)

とする. なるについて,

よって示せた.

に,で抑えられるから,

とすると,
したがって.
よってからへの写像と考えられる.
が縮小写像と示す.に,

ゆえに

から,確かに縮小写像.
Theorem 7.6.2からなるがただ一つ存在し,

微積分学の基本定理から,で,である

7.6.3 Exercises

Exercise 7.6.4

とする.
a) は縮小写像であることを示せ
b) 不動点を見つけ,一意であることを示せ.
答案.

a)
に, . から,たしかに縮小写像.
b)
とし,によってを定める.その極限とすると,である.
これが不動点であることは実際に関数に代入すれば示せる.また,も不動点であるとすると,
から,.したがって不動点は一意である.

Exercise 7.6.10

は縮小写像で, である距離空間とする.このときは定数であることを示せ.
答案.

この距離関数のもとでが収束する あるがあって,.したがってその極限はの元であって,ゆえにこの距離空間は完備である.は縮小写像だから,Theorem 7.6.2(fixed point theorem)から,は不動点をただ一つもつ.
の不動点とする.すなわち.
は縮小写像だから,に,
が成立する.は離散距離だから,ならばすなわちが成立する.
したがって確かに.すなわちは定数.

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