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Chapter 7. Metric Spaces
は距離空間とする.
7.6 Fixed point theorem and Picard’s theorem again
fixed point theorem(不動点定理)をcontraction mapping(縮小写像)の場合に証明する.
Definition
がをfixed point(不動点)に持つ
7.6.1 Fixed point theorem
Definition 7.6.1
がcontraction(or contractive map)である
はに-Lipschitz写像
Theorem 7.6.2 (Contraction mapping principle or Fixed point theorem)
は空でない完備距離空間で,は縮小写像とする.このときは不動点を唯一つ持つ.
proof.
とする.として無限点列が定まる.
が必ず成立する.したがってなら
故に,はCauchy列である.完備性から,はに収束する.はcontractionだから-Lipschitzだから連続.連続性よりが成立し,はの不動点.
さらに,がの不動点であると仮定するとき,
が成立する.から,.距離の公理から,.一意性が示せた.
7.6.2 Picard’s theorem
この節では,距離空間は, の組を考える.この距離空間は完備である.
fixed point theoremを使って,古典的なPicard’s theoremを証明する.
という微分方程式で,初期値が与えられているとき,であるを考える.簡単のため,とか,とか書くことにする.Picard’s theoremは,Lipschitz連続性の過程のもとで,の近くで,述べたようなが存在することを主張している.
Theorem 7.6.3 (Picard’s theorem on existence and uniqueness)
はcompact区間とする.をの内部として,でが連続で,第二変数についてLipschitz連続である,すなわちがあって,
が成立する.
このとき,と微分可能な,があって,
が成立する.
proof.
としてよい.はcompactで,は連続だから,は有界.なるがある.なるについて,
とするとであって
とすると,は閉集合.
proof. (Exercise 7.6.1)が距離で成立するなら,はに一様収束するということ.
一様収束する連続関数列は連続だから,. よって成立.a,はcompleteだから,はcompact.
を
とする.が連続なら,もでの関数として連続である.
proof. (Exercise 7.6.2)とする. なるについて,
よって示せた.に,はで抑えられるから,
とすると,
したがって.
よってはからへの写像と考えられる.
が縮小写像と示す.とに,
ゆえに
から,確かに縮小写像.
Theorem 7.6.2からなるがただ一つ存在し,
微積分学の基本定理から,で,である
7.6.3 Exercises
Exercise 7.6.4
とする.
a) は縮小写像であることを示せ
b) 不動点を見つけ,一意であることを示せ.
答案.
a)
に, . から,たしかに縮小写像.
b)
とし,によってを定める.その極限とすると,である.
これが不動点であることは実際に関数に代入すれば示せる.また,も不動点であるとすると,
から,.したがって不動点は一意である.
Exercise 7.6.10
は縮小写像で,は である距離空間とする.このときは定数であることを示せ.
答案.
この距離関数のもとでが収束する あるがあって,.したがってその極限はの元であって,ゆえにこの距離空間は完備である.は縮小写像だから,Theorem 7.6.2(fixed point theorem)から,は不動点をただ一つもつ.
をの不動点とする.すなわち.
は縮小写像だから,に,
が成立する.は離散距離だから,ならばすなわちが成立する.
したがって確かに.すなわちは定数.
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