2017年8月10日木曜日

MIT OCW, Fundamentals of Probability 20日目 確率過程I

David Gamarnik, and John Tsitsiklis. 6.436J Fundamentals of Probability. Fall 2008. Massachusetts Institute of Technology: MIT OpenCourseWare, https://ocw.mit.edu. License: Creative Commons BY-NC-SA.

Lecture 20. The Bernoulli and Poisson Processes

stochastic process(確率過程)の議論をする準備ができた.
discrete-time stochastic processは共通したprobability space 上のrandom variableの列である. あるいは,を引数に取る関数で,任意のというrandom variableということであって,またを固定したときにはの関数(“time function”,とか “sample path”, “trajectory”という)と見ることも出来る.

1. The Bernoulli Process

Bernoulli processではで,全てがi.i.d.である.とすると,であって

である.ただしはPMFとする.
またを最初に試行が成功するまでの試行数とすると,であって,

である.

1.1 Stationarity and Memorylessness

Bernoulli processには特有の構造が有る.

Bernoulli process を考える.ある自然数を固定して,とすると,と同じdistributionを持ったBernoulli processである. より厳密には,と同じdistributionを持っている.この性質をstationarity(定常)性という.
また,より強い性質も成り立つ.の値が与えられても,は変化しない.形式的には

である.(1)の等式をmemoryless(無記憶)性という.(2)の等号はstationarity propertyの言い換えである.

1.2 Stopping Times

1.1では観測を始める時刻をに固定して議論したが,観測を始める時間がまた確率的に決まる場合を考える.は非負整数値をとるrandom variableとして,を議論する. は一般にと同じパラメータのBernoulli processではない. 例えばとするとである.この不等号はの実現値が決まってから,すなわち”未来を見て”決めたことに起因している.
一方がcausallyに決まるとき,つまり過去か現在のprocessのみから決まるとき,形式的には

Definition 20-1

stopping timeである
任意のについて,というeventが起きるか否かが,の顕れに寄ってのみ決まる
またこのとき,任意のという関数があって,

が成立する.

として,がstopping timeであるときにはmemorylessnessより強い性質を持つ.

したがってがstopping timeであればはまたBernoulli processである.

1.3 Arrival and Interarrival Times

th arrival timeといい, th interarrival timeとする.
はgeometricで,またstopping timeだから,もまたBernoulli processである. はもとのprocessのsecond interarrival timeだがのfirst arrival timeであって,よってはgeometricである.さらに,新しいprocessはと独立であって,もまたと独立である.特にとも独立である.
上の段落の議論を繰り返すと,はi.i.d. geometricであることがわかる.結果,のi.i.d. geometricの和だから,として,

である.こののPMFをPascal PMFという.

1.4 Marging and Splitting of Bernoulli Processes

は独立なBernoulli processで,パラメータはそれぞれとする. を,の”merged” processとして,と定義する.

だから,であって,はまたBernoulli processとなる.

また,というprocessを”Splitting”するprocessも考えられる.となったらコインを投げ(),その結果を記録していく仮定を考える.
形式的にはとして

とする.はパラメータのBernoulli processであり,はパラメータのBernoulli processである. dependentである.特に
である.

2. The Poisson Process

Poisson processはBernoulli processの連続時間への近似と考えることが出来る.時刻0から観測を初めて,時刻までに起きた成功の回数をrandom variableとする.つまり,とし,の間の成功の回数とすると,はpoisson過程である.
あるを固定して,を時刻におけるの現れとする.これはで成功しているならその点で不連続であり,右連続である:.
Bernoulli processと同様にいくつかのrandom variableを定義する.

さらにとする.
として,Poisson processは以下の性質によって定義される.
(a)

互いに素な区間たちがあって,その中で成功が起こる回数はindependentである.形式的には,
で,はindependentである.これはBernoulli processの試行の独立性の近似である.

(b)

ある区間における成功の回数のdistributionはと区間の長さのみによって決まる.形式的には,ならば

である.

(c)

という関数があって,

かつ任意の

である

はテイラー展開の2次以降の項を捉えるために導入される.

2.1 The Distribution of N(t)

を固定して,のclosed form expressionを考える.という区間を,同じ区間に複数の成功がないように細かく区切って,Bernoulli processで近似する.
大きなを一つ選び,とする.を長さごとに区切り,個の”slot”をつくる. 少なくとも1つの成功があるslotにある確率は

である.ただしである.
を固定して,以下のeventたちを定義する.

A: でちょうど回成功する
B: ちょうど個のslotがそれぞれ1つ以上の成功をもつ
C: 少なくとも1角slotが2つ以上の成功を持つ.

が起きない限り一致する.

であって

が成立する.ここで

右辺はに収束するから,に収束する.
成功があったslotの個数はbinomial distributionに従い,そのパラメータはであって,

が成立する. とすると,Lec.6と同様の計算で,右辺はPoisson PMFに収束し,

が成立する.これはをパラメータとするPoisson random variableであることを示している.またである.

2.2 The distribution of

Bernoulli processと同様に, interarrival times がi.i.d. でexponentialなrandom variableであることを示す.

2.2.1 First argument


である.これはexponentila CDFだから,

とPDFが得られる.
, または十分小さい正数とする.このとき十分狭い区間では複数個の成功は起こらないという仮定のもとで

両辺をで割ってとすれば

を得る.よってはindependentで,同じexponential distributionをもつ. 繰り返して,はi.i.d.で,共通したパラメータをもつexponential distributionに従う.

2.2.2 Second Argument

簡単のため,とする.として,

両辺を微分して,

が成立する.よって,を決めると,上uniformである.すなわち,2回目の成功が起きるまでの時刻,1回目の成功が起きうる時刻は同様に確からしい.
とすると,

である.

2.2.3 Alternative Definition of the Poisson Process

はi.i.d. でを共通のパラメータのexponential distributionをもつとする. 成功した時刻を記録していくとして,この定義はまたPoisson processの定義(a),(b),(c)を導く.

2.3 The Distribution of

個ののi.i.d.なrandom variableの和だから,PDFは畳み込みを繰り返して構成できる. PDFのもう一つの導出方法を述べる.
小さな区間で2つ以上成功する可能性を無視すると,

両辺をで割ってとし,

が言える.これを自由度GammaErlang(アーラン) distributionという.
他の導出に,に,というeventが

というeventと同じであることを考えれば,CDFは

であって,のPDFはこれを微分することで得られる.

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