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8.2 Analysis with vector spaces
8.2.1 Norms
Chapter 7では距離空間について論じた.距離空間を導く概念にnorm(ノルム)がある.集合にnormを定めると,そのnormから距離関数を導ける.
Definition 8.2.1
をベクトル空間とする.が次の(i)~(iii)を満たすとき,それをノルムという.
(i) が常に成立し,特に
(ii) として,
(iii)
における標準ノルムを定める前に,標準ドット積を定める.
について,
を標準ドット積という.標準ドット積の一般化が内積である.標準ドット積をにおける標準内積とも呼ぶ.Euclidean normを,
と定める.には様々なノルムが定義できるが,単にノルムというとこれのことを指す.
これがノルムの条件を満たすことを示す.(i),(ii)は明らかで,(iii)は前章で示したが,重要なのでもう一度証明することにする.
Theorem 8.2.2 (Cauchy-Schwartz inequality)
について,
が成立.
proof.
の少なくとも一方がなら明らか.とする.
と書けるとき,.そうでない場合,
は常に正になるから,この方程式は実数根を持たない.ゆえにに関して解の公式を使って,
が成立する.根をとれば,Cauchy-Scwartzの不等式になる. 以上より示せた.
さて,を示す.両辺を二乗し,
を言えばよい.整理すれば直ちにCauchy-Scwartzの不等式と同値になる.
Definition
はにおける標準距離関数である.
一般に,ベクトル空間とノルムがあるとき,の差はとして関数を定めるとは上の距離関数となる
Definition 8.2.3
とする.
この演算子をのoperator norm(作用素ノルム)という.とも書く.
だから,
である.したがって
が成立する.また,である.
今はベクトル空間が有限次元であるときのみ考えるが,無限次元ではかなり話が違ってくるので注意する.
Proposition 8.2.4
: 有限次元ベクトル空間とする.
とすると,であり,かあつはをLipschitz定数としてLipschits連続(一様連続)である.
proof.
で,ノルムは標準ノルムとする.
をの標準基底とし,をと書ける.
であって, が成立する.よって
が三角不等式とSchwartzの不等式より成立する.さらに,について,とすると,に
すなわちはをLipschitz定数としてLipschitz連続である.
Proposition 8.2.5
をノルムを入れた有限次元ベクトル空間とする.
(i) とすと,
(ii) とすると,
proof.
(i)
よって. 後半もほとんど同様.(ii)
よって成立.
Proposition 8.2.6
を有限次元なベクトル空間とする.を可逆な作用素の集合とする.
(i) で,ならばは可逆である.
(ii) は開集合で,は上の連続関数である
proof.
(i)
は線形だから,
故に
であればであり,仮定より
が成立する.から任意のにである.すなわちは単車であり,が単車で,hは有限次元だから,は全単射.よって可逆.
(ii)
を固定する.はに近く可逆とする.つまり,であるとする.このときとすると
が成立する.したがって,である.
が成立するから,によって.たしかに逆関数をとる操作は連続である.
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