2017年6月27日火曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 29日目

CC BY-NC-SA 3.0

8.2 Analysis with vector spaces

8.2.1 Norms

Chapter 7では距離空間について論じた.距離空間を導く概念にnorm(ノルム)がある.集合にnormを定めると,そのnormから距離関数を導ける.

Definition 8.2.1

をベクトル空間とする.が次の(i)~(iii)を満たすとき,それをノルムという.
(i) が常に成立し,特に
(ii) として,
(iii)

における標準ノルムを定める前に,標準ドット積を定める.
について,

を標準ドット積という.標準ドット積の一般化が内積である.標準ドット積をにおける標準内積とも呼ぶ.Euclidean normを,

と定める.には様々なノルムが定義できるが,単にノルムというとこれのことを指す.

これがノルムの条件を満たすことを示す.(i),(ii)は明らかで,(iii)は前章で示したが,重要なのでもう一度証明することにする.

Theorem 8.2.2 (Cauchy-Schwartz inequality)

について,

が成立.
proof.

の少なくとも一方がなら明らか.とする.
と書けるとき,.そうでない場合,

は常に正になるから,この方程式は実数根を持たない.ゆえにに関して解の公式を使って,

が成立する.根をとれば,Cauchy-Scwartzの不等式になる. 以上より示せた.

さて,を示す.両辺を二乗し,

を言えばよい.整理すれば直ちにCauchy-Scwartzの不等式と同値になる.

Definition


における標準距離関数である.
一般に,ベクトル空間とノルムがあるとき,の差はとして関数を定めると上の距離関数となる

Definition 8.2.3

とする.

この演算子をのoperator norm(作用素ノルム)という.とも書く.
だから,

である.したがって

が成立する.また,である.

今はベクトル空間が有限次元であるときのみ考えるが,無限次元ではかなり話が違ってくるので注意する.

Proposition 8.2.4

: 有限次元ベクトル空間とする.
とすると,であり,かあつをLipschitz定数としてLipschits連続(一様連続)である.

proof.

で,ノルムは標準ノルムとする.
の標準基底とし,と書ける.
であって, が成立する.よって

が三角不等式とSchwartzの不等式より成立する.

さらに,について,とすると,

すなわちをLipschitz定数としてLipschitz連続である.

Proposition 8.2.5

をノルムを入れた有限次元ベクトル空間とする.
(i) とすと,

(ii) とすると,

proof.

(i)

よって. 後半もほとんど同様.

(ii)

よって成立.

Proposition 8.2.6

を有限次元なベクトル空間とする.を可逆な作用素の集合とする.
(i) で,ならばは可逆である.
(ii) は開集合で,上の連続関数である
proof.

(i)
は線形だから,

故に

であればであり,仮定より
が成立する.から任意のである.すなわちは単車であり,が単車で,hは有限次元だから,は全単射.よって可逆.
(ii)
を固定する.に近く可逆とする.つまり,であるとする.このときとすると

が成立する.したがって,である.

が成立するから,によって.たしかに逆関数をとる操作は連続である.

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