2017年6月25日日曜日

Basic Analysis (Jiri Lebl) 27日目

CC BY-NC-SA 3.0

Chapter 8. Several variables and partial derivatives

8.1 Vector spaces, linear mappings, and convexity

8.1.1 Vector spaces

n次元ベクトルv
v=(v1,...,vn)=[v1v2vn]と書くことにする.本質的にはvは縦ベクトルとする.
Rnやその部分集合で定義された関数を考察するが,多くの場合定義域はベクトル空間である.

Definition 8.1.1

Xには2つの演算,加算+:X2Xとスカラー倍:R×XXが定義されていて,どちらの演算にも閉じているとき,X(real) vector spaceという.
vector spaceの元をvectorという.

以後,Xはすべてベクトル空間とする.

Example 8.1.4

C([0,1],R)は,
f,gC([0,1],R)に,(f+g)(x)=f(x)+g(x),
αR,fC([0,1]に,αf(x)=α×f(x)
と演算を定義すればベクトル空間となる.

Example 8.1.5

多項式c0+cmtm,ciRのなす集合をR[t]とする.演算をEx. 8.1.4と同様に定義すると,R[t]はベクトル空間となる.R[t]は無限次元のベクトル空間である.

8.1.2 Linear combinations and dimension

Definition 8.1.6

Xをベクトル空間とする.
{xi}ni=1X,{ai}ni=1R,があるとき,
a1x1+anxn


x1,...,xklinear combination(線型結合)という.
YXについて,Yの有限な部分集合のつくるすべての線形結合の集合をYspan(はる空間)といい,span(Y)と書く.

Example 8.1.7

Y={(1,1)}R2とすると,
span(Y)={(x,x)R2,xR}


であって,つまり原点と(1,1)を通る直線である.

Proposition 8.1.9

任意のYXについて,span(Y)はまたベクトル空間である.

Definition 8.1.10

{x1,...,xk}Xlinearlyl independent(線形独立)
[a1x1+akxk=0a1==ak=0]
線形独立でないとき,linealy dependentという.
BXが線形独立かつspan(B)=Xであるとき,BXbasis(基底)という.
Xのうちd本のベクトルを線形独立になるように選べるが,d+1本のベクトルを線形独立となるように選べないとき,Xd-dimension(次元)であるという.任意のdに,かならずd本の線形独立なベクトルが選べるとき,Xの次元は無限次元であるという.

Proposition 8.1.11

B={x1,...,xk}Xの基底である時,Xの任意のベクトルyは,
y=kj=1ajxj


と一意に書ける.
proof.

y=ajxj=bjxj


と書けるとすると,
(ajbj)xj=0

線形独立性から,j.aj=bj.よって示せた.

Definition

Rnについて,{(1,0,...,0),(0,1,...,0),...,(0,0,...1)}Rnの基底である.この基底をRnstandard basis(標準基底)という.

8.1.3 Linear mappings

この節ではX,Yはベクトル空間とする.
f:XYについて,YRCでないとき,ffunction(関数)ではなくmapping(写像)とよぶことが多い.

Definition 8.1.13

A:XYlinear(線形)である
  aR,x,yX,A(ax)=aA(x) and A(x+y)=A(x)+A(y)

A(x)Axと書くことにする.A:XXが線形であるとき,Alinear operator(線形作用素)であるという.XからYへの線形写像の集合をL(X,Y)と書き,L(X,X)を特にL(X)と書く.

Proposition 8.1.14

AL(X,Y)A1をもつとき,A1もまた線形である.
proof.

Aは全単射だから,y1,y2Yについて,y1=Ax1,y2=Ax2なるx1,x2が必ず存在する.
A1(αy1)=A1(αAx1)=A1(Aαx1)=αx1=αA1y1
A1(y1+y2)=A1(Ax1+Ax2)=x1+x2=A1y1+A1y2
よって示せた.

Proposition 8.1.15

AL(X,Y)Xの基底における値がわかれば完全に決定できる.また,BXの基底とするとき,˜A:BYAL(X,Y)に自然に拡張できる.

proof.

有限次元空間のみ考える.
{x1,...,xk}Xの基底とする.Axj=yjを定めるとA:XYが一意に決まるというのが命題の主張である.
xXx=bjxjと書ける.線形性から
Ax=Abjxj=bjAxj


が成立して,たしかにA{Axj}によって一意に定まる.後半はもはや明らかだろう.

Proposition 8.1.16

Xは有限次元で,その上の線形作用素AL(X)が単射である Aは全射
proof.

{x1,...,xn}Xの基底とする.Aが単射であるとき,
a1Ax1+anAxn=A(a1x1++anxn)=0の解を考えれば,{Axj}nj=1が一次独立であることがわかる.{Axj}nj=1Xの基底だから,Xの任意の点は{Axj}nj=1の線型結合で書ける.よってAは全射である.
Aを全射とする.{Ax1,...,Axn}Xを張る.
Acjxj=cjAxj=0が成立するなら,cj=0.すなわちAx=Ayならばxy=0x=y

Proposiiont 8.1.17

X,Yが有限次元なら,L(X,Y)もまた有限次元のベクトル空間である.

proof. (Exercise 8.1.11)

Ex. 8.1.5と同じ演算を導入して,ベクトル空間であることは明らかなので,有限次元であることを示す.
X,Yの基底をそれぞれ{x1,...,xn},{y1,...,ym}とする.
Ajkxi={yk   (i=j)0(ij)


なる作用素Ajkたちを定める.{Ajk}1jn,1kmL(X,Y)を張ることを示せばよい.
AL(X,Y)とする.Prop.8.1.15から,{Axj}nj=1YによってAは決定される.
Yはベクトル空間だから,{Axj}はそれぞれ{y1,...,ym}の線型結合で書ける.
Axj=kajkyk

となるように{ajk}を定めると,任意のXx=b1x1+bnxnについて,
Ax=jbjkajkyk=jkbjajkyk=jkbjajkAjkxj

が成立する.すなわち,
A=jkbjajkAjk

と書ける.したがって確かにL(X,Y)=span({Ajk})であり,以上より命題が示せた.

0 件のコメント:

コメントを投稿