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Chapter 8. Several variables and partial derivatives
8.1 Vector spaces, linear mappings, and convexity
8.1.1 Vector spaces
n次元ベクトルvを
v=(v1,...,vn)=[v1v2⋮vn]と書くことにする.本質的にはvは縦ベクトルとする.
Rnやその部分集合で定義された関数を考察するが,多くの場合定義域はベクトル空間である.
Definition 8.1.1
Xには2つの演算,加算+:X2→Xとスカラー倍⋅:R×X→Xが定義されていて,どちらの演算にも閉じているとき,Xを(real) vector spaceという.
vector spaceの元をvectorという.
以後,Xはすべてベクトル空間とする.
Example 8.1.4
C([0,1],R)は,
f,g∈C([0,1],R)に,(f+g)(x)=f(x)+g(x),
α∈R,f∈C([0,1]に,αf(x)=α×f(x)
と演算を定義すればベクトル空間となる.
Example 8.1.5
多項式c0+⋯cmtm,ci∈Rのなす集合をR[t]とする.演算をEx. 8.1.4と同様に定義すると,R[t]はベクトル空間となる.R[t]は無限次元のベクトル空間である.
8.1.2 Linear combinations and dimension
Definition 8.1.6
Xをベクトル空間とする.
{xi}ni=1⊂X,{ai}ni=1⊂R,があるとき,
a1x1+⋯anxn
をx1,...,xkのlinear combination(線型結合)という.
Y⊂Xについて,Yの有限な部分集合のつくるすべての線形結合の集合をYのspan(はる空間)といい,span(Y)と書く.
Example 8.1.7
Y={(1,1)}⊂R2とすると,
span(Y)={(x,x)∈R2,x∈R}
であって,つまり原点と(1,1)を通る直線である.
Proposition 8.1.9
任意のY⊂Xについて,span(Y)はまたベクトル空間である.
Definition 8.1.10
{x1,...,xk}⊂Xがlinearlyl independent(線形独立)
⇔ [a1x1+⋯akxk=0⇔a1=⋯=ak=0]
線形独立でないとき,linealy dependentという.
B⊂Xが線形独立かつspan(B)=Xであるとき,BをXのbasis(基底)という.
Xのうちd本のベクトルを線形独立になるように選べるが,d+1本のベクトルを線形独立となるように選べないとき,Xはd-dimension(次元)であるという.任意のdに,かならずd本の線形独立なベクトルが選べるとき,Xの次元は無限次元であるという.
Proposition 8.1.11
B={x1,...,xk}がXの基底である時,Xの任意のベクトルyは,
y=k∑j=1ajxj
と一意に書ける.
proof.
y=∑ajxj=∑bjxj
と書けるとすると,
∑(aj−bj)xj=0
線形独立性から,∀j.aj=bj.よって示せた.
Definition
Rnについて,{(1,0,...,0),(0,1,...,0),...,(0,0,...1)}はRnの基底である.この基底をRnのstandard basis(標準基底)という.
8.1.3 Linear mappings
この節ではX,Yはベクトル空間とする.
f:X→Yについて,YがRやCでないとき,fをfunction(関数)ではなくmapping(写像)とよぶことが多い.
Definition 8.1.13
A:X→Yがlinear(線形)である
⇔ ∀a∈R,∀x,y∈X,A(ax)=aA(x) and A(x+y)=A(x)+A(y)
A(x)をAxと書くことにする.A:X→Xが線形であるとき,Aはlinear operator(線形作用素)であるという.XからYへの線形写像の集合をL(X,Y)と書き,L(X,X)を特にL(X)と書く.
Proposition 8.1.14
A∈L(X,Y)がA−1をもつとき,A−1もまた線形である.
proof.
Aは全単射だから,y1,y2∈Yについて,y1=Ax1,y2=Ax2なるx1,x2が必ず存在する.
A−1(αy1)=A−1(αAx1)=A−1(Aαx1)=αx1=αA−1y1
A−1(y1+y2)=A−1(Ax1+Ax2)=x1+x2=A−1y1+A−1y2
よって示せた.
Proposition 8.1.15
A∈L(X,Y)はXの基底における値がわかれば完全に決定できる.また,BをXの基底とするとき,˜A:B→YはA∈L(X,Y)に自然に拡張できる.
proof.
有限次元空間のみ考える.
{x1,...,xk}をXの基底とする.Axj=yjを定めるとA:X→Yが一意に決まるというのが命題の主張である.
x∈Xはx=∑bjxjと書ける.線形性から
Ax=A∑bjxj=∑bjAxj
が成立して,たしかにAは{Axj}によって一意に定まる.後半はもはや明らかだろう.
Proposition 8.1.16
Xは有限次元で,その上の線形作用素A∈L(X)が単射である⇔ Aは全射
proof.
{x1,...,xn}をXの基底とする.Aが単射であるとき,
a1Ax1+⋯anAxn=A(a1x1+⋯+anxn)=0の解を考えれば,{Axj}nj=1が一次独立であることがわかる.{Axj}nj=1もXの基底だから,Xの任意の点は{Axj}nj=1の線型結合で書ける.よってAは全射である.
Aを全射とする.{Ax1,...,Axn}はXを張る.
A∑cjxj=∑cjAxj=0が成立するなら,cj=0.すなわちAx=Ayならばx−y=0⇔x=y
Proposiiont 8.1.17
X,Yが有限次元なら,L(X,Y)もまた有限次元のベクトル空間である.
proof. (Exercise 8.1.11)
Ex. 8.1.5と同じ演算を導入して,ベクトル空間であることは明らかなので,有限次元であることを示す.
X,Yの基底をそれぞれ{x1,...,xn},{y1,...,ym}とする.
Ajkxi={yk (i=j)0(i≠j)
なる作用素Ajkたちを定める.{Ajk}1≤j≤n,1≤k≤mがL(X,Y)を張ることを示せばよい.
A∈L(X,Y)とする.Prop.8.1.15から,{Axj}nj=1⊂YによってAは決定される.
Yはベクトル空間だから,{Axj}はそれぞれ{y1,...,ym}の線型結合で書ける.
Axj=∑kajkyk
となるように{ajk}を定めると,任意のX∋x=b1x1+⋯bnxnについて,
Ax=∑jbj∑kajkyk=∑jkbjajkyk=∑jkbjajkAjkxj
が成立する.すなわち,
A=∑jkbjajkAjk
と書ける.したがって確かにL(X,Y)=span({Ajk})であり,以上より命題が示せた.
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