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2017年7月2日日曜日

Gamarnik, Tsisiklis. Fundamentals of Probability 01日目 測度空間と確率測度

David Gamarnik, and John Tsitsiklis. 6.436J Fundamentals of Probability. Fall 2008. Massachusetts Institute of Technology: MIT OpenCourseWare, https://ocw.mit.edu. License: Creative Commons BY-NC-SA.

Probablistic Models and Probability Measures

1. Probabilistic Experiments

結果が不確定な現象や実験を解析するには確率モデルを使う.確率モデルは形式的には(Ω,F,P)と書かれprobability space(確率空間)と呼ばれる.probability spaceは以下の性質を持つ.
(a) Ωは実験によって生じうる結果の集合で,sample space(標本空間)という.
(b) Fσ-加法性(後述)をもつ2Ωの部分集合で,σ-fieldという.
(c) PF[0,1]なる写像で,probability measure(確率測度)という.

これらの性質の詳細を議論する.

2. Sample Space

sample spaceは生じうる結果すべての集合Ωで,Ωのある要素をωと表して,elementary outcomeとか,単にoutcomeという(素事象という言い方が有るがあまり使われないようだ.ふつう日本語では標本とか標本点と呼ぶ).ΩMutually Exclusive and Collectively Exhaustive(MECE:つまり,重複無く,漏れなく)なければならない.

(a)サイコロを1回ふる実験を考えるとき,sample spaceはΩ={1,2,...,6}で,ω=2はサイコロをふって2が出るという事象を表している.
(c)サイコロを無限回ふる実験を考えるとき,Ω={1,...,6}であって,ω=(3,1,1,5,...)というような無限列である.
(d) 実験が乗り物の無限精度の速度とすると,Ω=Rである.

3. Discrete Probability Spaces

抽象的な議論の前に,さいころの試行のような,最も単純なタイプのprobability spaceを考える.
|Ω||N|なprobability spaceをdiscrete probability spaceという.

Definition 1.

(Ω,F,P)discrete probability spaceである以下の(a),(b),(c)が成立する.
(a) Ω={ω1,...}
(b) F=2Ω
(c) ωΩP({ω})が定義されていて,P(A)=ωAP({ω})が任意のAF=2Ωに成立し,ωΩP({ω})=1
である.

P({ω})を単にP(ω)と書き,P(ωi)piとも書く.

Examples

(a) コイントスを考えるとき表が出る事象をH,裏が出る事象をTとする.
Ω={ω1=T,ω2=H}として,
p1=p2=1/2,F={ϕ,{H},{T},{H,T}},
P(ϕ)=0,P(H)=P(T)=1/2,P({H,T})=1である.

(c)
Ω={1,2,5,a,v,aaa,},F=2Ω,
P(1)=P(2)=0.1,P(5)=0.3,P(a)=0P(v)=0.15,P(aaa)=0.2,P()=0
としても,物理的な意味はないがdiscrete probability spaceである.

(e)
Ω=Nとしてλ>0を固定し,pk=eλλk/k!とすると,(Ω,2Ω,P)はdiscrete probability spaceである.

(g)
さいころをn回ふる実験を考える.Ω={1,...,6}nであって,どの目が出る確率も同様に確からしいと仮定すると,P(ω)=1/6nが任意のωΩに成立する.

4. σ-FIELDS

|Ω|>|N|のときはdiscrete probability spaceと異なり,F2Ωとは限らないが,必ずσ加法性という性質を満たさなければならない.
つまり,確率はΩの部分集合のうち,特に”よい”性質を持つものにのみ定義される.

Definition 2.

Ω: a setに対して,FΩσ-field(σ加法族,σ代数, σ体)である以下の(a),(b),(c)を満たす.
(a) ϕF
(b) AFならAcF
(c) {Ai}FならiAiF
AFeventといい,これをF-measurable setか,単にmeasureable setという.(Ω,F)を**measurable space(可測空間)という.

試行のうち,ωAが生じたとき,event Aが起きたという.

Exercise 1.

(1) A,BFならABFを示せ.
(2) Fϕであるなら,definition 1の(a)を(b),(c)によって導け.
答案.

(1) AB=(AcBc)cF
(2) AFに,(b)からAcF, (c)からAAc=ΩFであって,また(b)によってϕ=ΩcFである.

Examles

(a) 自明なσ-field, F={Ω,ϕ}
(b) F={ϕ,A,Ac,Ω}AΩの固定された部分集合として,σ-field.
(c) F=2Ωσ-field
(d) サイコロをn回ふる実験を考える.Ω={1,...,6}nとする.
A={ω=(ω1,...,ωn)|ω12}
B={ω=(ω1,...,ωn)|3ω14}
C={ω=(ω1,...,ωn)|5ω1}
とするとき,
F={ϕ,A,B,C,AB,AB,BC,Ω}σ-algebra.

Proposition

Sを添字集合として,{Fs}sSはすべて同じsample spaceΩσ-fieldとする.F=sSFsは任意のFsの部分集合である最大のσ-fieldである.
proof.

s  ϕ,ΩFsだから,ϕ,ΩF
AFならsAFsゆえ,sAcFs.同様に{Ai}F{Ai}Fがいえる.

さて,CΩの部分集合たちの属であるとする.Cを含む含むような最少のσ-fieldを考える.C2Ωだから,最大のものは存在する.Cを含むすべてのσ-filedの積集合Fを考えれば良い.
つまり,HFを含む任意のσ-filedとするとFHであり,これが最少の意味である.このように構成されたFCがらgenerate(生成された)σ-field といい,σ(C)と書く.

5. Probability Measures

eventに対してその確率を与える方法を議論する.|Ω|>|N|のときが問題で,Fσ-加法性をみたさなければならない.また,割り当てられる確率もまた特別な条件を満たす必要が有る.probability measureの前に,より一般的にmeasureの性質を議論する.

Definition 3.

(Ω,F)はmeasurable spaceとする.関数,μ:F[0,]measureである以下の(a),(b)を満たす.
(a) μ(ϕ)=0
(b) (Countable additivity, 可算加法性){Ai}Fが互いに素であるとき,μ(iAi)=i=1μ(Ai)が成立する.

さらに,Pがmeasureであるとき,Pがprobabilty measureであるP(Ω)=1(Axiom of Probability)

AFに,P(A)=1であるとき,event Aalmost surely(ほとんど常に)起こるという.A=Ωは自明な例である.しかし,P(A)=1A=Ωと同値ではない.
A1,A2,...というeventsがあって,同時にたかだか1つしか起こらないとする.このとき”どれか一つが起こる”という確率は,それぞれの起こる確率の和であるというのが,countable additivityの意味である.measureはもともと体積の一般化として導入された.一般なmeasureでは,体積無限大の立体を考えれば,measureがであるとこは不自然ではないが,probability measureでは特にP(Ω)=1を要求する.

Proposition 2.

Probability measureは以下の性質を持つ.
(a) (Finite additivity) A1,...,Anが互いにであるとき,P(niAi)=ni=1P(Ai)
(b) P(Ac)=1P(A)
(c) ABP(A)P(B)
(d) (Unioin bound) {Ai}Fなら,
P(i1Ai)i1P(Ai)
(e) (Enclusion-exclusion formula) A1,...,AnFに,
P(n1Ai)=n1P(Ai)i<jP(AiAj)+i<j<kP(AiAjAk)++(1)nP(A1An)

proof.

(a) countable additivityの集合列で,n+1以上をϕにすれば示せる.
(b) AAc=ϕから,P(A)+P(Ac)=1
(c) A,BFならBAFであって,BAA=ϕから,P(B)=P(A)+P(BA)P(A)である.
(d) {Ai}iが互いに素である時は統合が成立する.AjAkϕであるようなAj,Akがあってほかはすべて互いに素であるとき,Ai=ij,kAi(AjAk)(AkAj)(AjAk) (別にAjAk=ϕでも成立するが) 両辺の測度をとって,
P(Ai)=ik,jP(Ai)+P(AjAk)+P(AkAj)+P(AjAk)iP(Ai)が成立する.互いに素でない集合がいくつあっても同じことである.
(e) 後日

Finite Additivity

Definition 4.

Ωをsample spaceとする.

(a) F02Ωとする.Ffieldである
1. ϕF
2. AFAcF
3. A,BFABF

(b) F0Ωのfieldとする.P:F0[0,1]finite additive [A,BF0,AB=ϕP(AB)=P(A)+P(B)]

Countinuity of Probabilities

Ω=Rとする.An=[1,n]A=[1,)に収束する.よって確率を考えても,P([1,n])P([1,))が望まれる.Continuity of probability measuresによってこの性質が導かれる.

Theorem 1. (Continuity of probability measures)

FΩσ-fieldとする.P:F[0,1]P(Ω)=1であって,finite additivity propertyが成立するなら,以下は同値である.
(a) Pはprobability measureである.
(b) {Ai}が単調増加してその極限がA=Aiであるとき,limP(Ai)=P(A)
(c) {Ai}が単調減少してA=Aiに収束するとき, limP(Ai)=P(A)
(d) {Ai}が探鳥減少してAi=ϕであるときlimP(Ai)=0

proof.

(a) => (b)
A=A1(A2A1)(A3A2)...と,互いに素な集合列の和にできる.このとき
P(A)=P(A1)+i2P(AiAi1)=p(A1)+limni2P(AiAi1)=P(A1)+limni2(P(Ai)P(Ai1))=P(A1)+limn(P(An)P(A1))=limnP(An)
以下略

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