David Gamarnik, and John Tsitsiklis. 6.436J Fundamentals of Probability. Fall 2008. Massachusetts Institute of Technology: MIT OpenCourseWare, https://ocw.mit.edu. License: Creative Commons BY-NC-SA.
Probablistic Models and Probability Measures
1. Probabilistic Experiments
結果が不確定な現象や実験を解析するには確率モデルを使う.確率モデルは形式的には(Ω,F,P)と書かれprobability space(確率空間)と呼ばれる.probability spaceは以下の性質を持つ.
(a) Ωは実験によって生じうる結果の集合で,sample space(標本空間)という.
(b) Fはσ-加法性(後述)をもつ2Ωの部分集合で,σ-fieldという.
(c) PはF→[0,1]なる写像で,probability measure(確率測度)という.
これらの性質の詳細を議論する.
2. Sample Space
sample spaceは生じうる結果すべての集合Ωで,Ωのある要素をωと表して,elementary outcomeとか,単にoutcomeという(素事象という言い方が有るがあまり使われないようだ.ふつう日本語では標本とか標本点と呼ぶ).ΩはMutually Exclusive and Collectively Exhaustive(MECE:つまり,重複無く,漏れなく)なければならない.
例
(a)サイコロを1回ふる実験を考えるとき,sample spaceはΩ={1,2,...,6}で,ω=2はサイコロをふって2が出るという事象を表している.
(c)サイコロを無限回ふる実験を考えるとき,Ω={1,...,6}∞であって,ω=(3,1,1,5,...)というような無限列である.
(d) 実験が乗り物の無限精度の速度とすると,Ω=Rである.
3. Discrete Probability Spaces
抽象的な議論の前に,さいころの試行のような,最も単純なタイプのprobability spaceを考える.
|Ω|≤|N|なprobability spaceをdiscrete probability spaceという.
Definition 1.
(Ω,F,P)がdiscrete probability spaceである⇔以下の(a),(b),(c)が成立する.
(a) Ω={ω1,...}
(b) F=2Ω
(c) ∀ω∈ΩにP({ω})が定義されていて,P(A)=∑ω∈AP({ω})が任意のA∈F=2Ωに成立し,∑ω∈ΩP({ω})=1
である.
P({ω})を単にP(ω)と書き,P(ωi)をpiとも書く.
Examples
(a) コイントスを考えるとき表が出る事象をH,裏が出る事象をTとする.
Ω={ω1=T,ω2=H}として,
p1=p2=1/2,F={ϕ,{H},{T},{H,T}},
P(ϕ)=0,P(H)=P(T)=1/2,P({H,T})=1である.
(c)
Ω={1,2,5,a,v,aaa,∗},F=2Ω,
P(1)=P(2)=0.1,P(5)=0.3,P(a)=0P(v)=0.15,P(aaa)=0.2,P(∗)=0
としても,物理的な意味はないがdiscrete probability spaceである.
(e)
Ω=Nとしてλ>0を固定し,pk=e−λλk/k!とすると,(Ω,2Ω,P)はdiscrete probability spaceである.
(g)
さいころをn回ふる実験を考える.Ω={1,...,6}nであって,どの目が出る確率も同様に確からしいと仮定すると,P(ω)=1/6nが任意のω∈Ωに成立する.
4. σ-FIELDS
|Ω|>|N|のときはdiscrete probability spaceと異なり,Fは2Ωとは限らないが,必ずσ−加法性という性質を満たさなければならない.
つまり,確率はΩの部分集合のうち,特に”よい”性質を持つものにのみ定義される.
Definition 2.
Ω: a setに対して,FがΩのσ-field(σ加法族,σ代数, σ体)である⇔以下の(a),(b),(c)を満たす.
(a) ϕ∈F
(b) A∈FならAc∈F
(c) {Ai}⊂Fなら∪iAi∈F
A∈Fをeventといい,これをF-measurable setか,単にmeasureable setという.(Ω,F)を**measurable space(可測空間)という.
試行のうち,ω∈Aが生じたとき,event Aが起きたという.
Exercise 1.
(1) A,B∈FならA∩B∈Fを示せ.
(2) F≠ϕであるなら,definition 1の(a)を(b),(c)によって導け.
答案.
(1) A∩B=(Ac∪Bc)c∈F
(2) A∈Fに,(b)からAc∈F, (c)からA∪Ac=Ω∈Fであって,また(b)によってϕ=Ωc∈Fである.
Examles
(a) 自明なσ-field, F={Ω,ϕ}
(b) F={ϕ,A,Ac,Ω}はAをΩの固定された部分集合として,σ-field.
(c) F=2Ωはσ-field
(d) サイコロをn回ふる実験を考える.Ω={1,...,6}nとする.
A={ω=(ω1,...,ωn)|ω1≤2}
B={ω=(ω1,...,ωn)|3≤ω1≤4}
C={ω=(ω1,...,ωn)|5≤ω1}
とするとき,
F={ϕ,A,B,C,A∪B,A∪B,B∪C,Ω}はσ-algebra.
Proposition
Sを添字集合として,{Fs}s∈Sはすべて同じsample spaceΩのσ-fieldとする.F=∩s∈SFsは任意のFsの部分集合である最大のσ-fieldである.
proof.
∀s ϕ,Ω∈Fsだから,ϕ,Ω∈F
A∈Fなら∀sA∈Fsゆえ,∀sAc∈Fs.同様に{Ai}⊂F⇒∪{Ai}∈Fがいえる.
さて,CをΩの部分集合たちの属であるとする.Cを含む含むような最少のσ-fieldを考える.C⊂2Ωだから,最大のものは存在する.Cを含むすべてのσ-filedの積集合Fを考えれば良い.
つまり,HをFを含む任意のσ-filedとするとF⊂Hであり,これが最少の意味である.このように構成されたFをCがらgenerate(生成された)σ-field といい,σ(C)と書く.
5. Probability Measures
eventに対してその確率を与える方法を議論する.|Ω|>|N|のときが問題で,Fがσ-加法性をみたさなければならない.また,割り当てられる確率もまた特別な条件を満たす必要が有る.probability measureの前に,より一般的にmeasureの性質を議論する.
Definition 3.
(Ω,F)はmeasurable spaceとする.関数,μ:F→[0,∞]がmeasureである⇐以下の(a),(b)を満たす.
(a) μ(ϕ)=0
(b) (Countable additivity, 可算加法性){Ai}⊂Fが互いに素であるとき,μ(∪iAi)=∑∞i=1μ(Ai)が成立する.さらに,Pがmeasureであるとき,Pがprobabilty measureである⇔P(Ω)=1(Axiom of Probability)
A∈Fに,P(A)=1であるとき,event Aはalmost surely(ほとんど常に)起こるという.A=Ωは自明な例である.しかし,P(A)=1はA=Ωと同値ではない.
A1,A2,...というeventsがあって,同時にたかだか1つしか起こらないとする.このとき”どれか一つが起こる”という確率は,それぞれの起こる確率の和であるというのが,countable additivityの意味である.measureはもともと体積の一般化として導入された.一般なmeasureでは,体積無限大の立体を考えれば,measureが∞であるとこは不自然ではないが,probability measureでは特にP(Ω)=1を要求する.
Proposition 2.
Probability measureは以下の性質を持つ.
(a) (Finite additivity) A1,...,Anが互いにであるとき,P(∪niAi)=∑ni=1P(Ai)
(b) P(Ac)=1−P(A)
(c) A⊂B⇒P(A)≤P(B)
(d) (Unioin bound) {Ai}⊂Fなら,
P(∪i≥1Ai)≤∑i≥1P(Ai)
(e) (Enclusion-exclusion formula) A1,...,An∈Fに,
P(∪n1Ai)=n∑1P(Ai)−∑i<jP(Ai∩Aj)+∑i<j<kP(Ai∩Aj∩Ak)+⋯+(−1)nP(A1∩⋯∩An)
proof.
(a) countable additivityの集合列で,n+1以上をϕにすれば示せる.
(b) A∩Ac=ϕから,P(A)+P(Ac)=1
(c) A,B∈FならB∖A∈Fであって,B∖A∩A=ϕから,P(B)=P(A)+P(B∖A)≥P(A)である.
(d) {Ai}iが互いに素である時は統合が成立する.Aj∩Ak≠ϕであるようなAj,Akがあってほかはすべて互いに素であるとき,∪Ai=∪i≠j,kAi∪(Aj∖Ak)∪(Ak∖Aj)∪(Aj∩Ak) (別にAj∩Ak=ϕでも成立するが) 両辺の測度をとって,
P(∪Ai)=∑i≠k,jP(Ai)+P(Aj∖Ak)+P(Ak∖Aj)+P(Aj∩Ak)≤∑iP(Ai)が成立する.互いに素でない集合がいくつあっても同じことである.
(e) 後日
Finite Additivity
Definition 4.
Ωをsample spaceとする.
(a) F0⊂2Ωとする.Fがfieldである⇔
1. ϕ∈F
2. A∈F⇒Ac∈F
3. A,B∈F⇒A∪B∈F(b) F0はΩのfieldとする.P:F0→[0,1]がfinite additive ⇔[A,B∈F0,A∩B=ϕ⇒P(A∪B)=P(A)+P(B)]
Countinuity of Probabilities
Ω=Rとする.An=[1,n]はA=[1,∞)に収束する.よって確率を考えても,P([1,n])→P([1,∞))が望まれる.Continuity of probability measuresによってこの性質が導かれる.
Theorem 1. (Continuity of probability measures)
FをΩのσ-fieldとする.P:F→[0,1]がP(Ω)=1であって,finite additivity propertyが成立するなら,以下は同値である.
(a) Pはprobability measureである.
(b) {Ai}が単調増加してその極限がA=∪Aiであるとき,limP(Ai)=P(A)
(c) {Ai}が単調減少してA=∩Aiに収束するとき, limP(Ai)=P(A)
(d) {Ai}が探鳥減少して∩Ai=ϕであるときlimP(Ai)=0
proof.
(a) => (b)
A=A1∪(A2∖A1)∪(A3∖A2)∪...と,互いに素な集合列の和にできる.このとき
P(A)=P(A1)+∑i≥2P(Ai∖Ai−1)=p(A1)+limn∑i≥2P(Ai∖Ai−1)=P(A1)+limn∑i≥2(P(Ai)−P(Ai−1))=P(A1)+limn(P(An)−P(A1))=limnP(An)
以下略
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