2018年3月14日水曜日

暗号学 1歩目

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代数学

群論

Definition 1-1. 群

集合GGの上の2項演算ϕ(簡単のためϕ(g1,g2)=g1g2とも書く)が以下を満たすとき,(G,ϕ)は群(group)であるという.
(0) g1,g2G,g1g2G


これはϕG上の二項演算であるという条件である.
(1) 結合法則(associative law)
g1,g2,g3G,g1(g2g3)=(g1g2)g3

(2) 単位元の存在
eG s.t. gGge=eg=g
このe(G,ϕ)の単位元(identity)という.
(3) 逆元の存在
gG,g1 s.t. gg1=g1g=e

このg1gの逆元(inverse)という.

(G,ϕ)について,演算ϕに混同の恐れがないときは単にGと書く.
群の要素数#G=|G|Gの位数(order)とも呼ぶ.

Corollary 1-2.

(G,ϕ)の単位元はただひとつだけ存在する.
proof.
e,eGの単位元とすると,e=ee=ee=e

Definition 1-3. 部分群

(G,ϕ)があって,HGが同じ演算によって群になるとき,すなわち(H,ϕ)が群であるとき,(H,ϕ)(G,ϕ)の部分群(subgroup)であるという.

Definition 1-4. 同値関係

集合Sとその上の関係が以下の条件を満たすときを同値関係(equivalency)という.
(1) 反射律(reflexivility)
x§xx


(2) 対象律(symmetry)
xyyx

(3) 推移律(transitivity)
xy,yzxz

xSxx

Definition 1-5. 同値関係による商

(1)集合C(x)={y|yS,yx}xの同値類(equivalence class)といい,同値類の集合{C(x)|xS}Sによる商(quotient set)といい,S/と書く.
(2)CS/について,x=CC=C(x)なるxCの代表元という.
(3) RSS/の代表元を一つづつ含むとき,S/の完全代表系という.明らかに|R|=|S/|である.

Gと部分群Hがあって,g1,g2Gg11g2Hをみたすとき,g1g2と書くことにすると,は同値関係である(証明略).同値類C(g)を特にgHと書いて左剰余類(left coset)と呼ぶ. {gH|gG}はこの同値関係による商 G/∼={gH|gG} に等しく,特にG/Hと書く.

Proposition 1-6

任意のgG|gH|=|H|
proof.

ϕ:HhghgH


という写像を考え,全単射であることを示す. 全射なのは明らかで,
h1,h2Hについて,gh1=gh2ならば左からg1をかけてh1=h2
よって示せた.

Theorem 1-7 (Lagrange)

|G/H||H|=|G|


proof.

G/Hの完全代表系を{xi}とする. |{xi}|=|G/H|(def. 1-5)であり,また|C(xi)|=|gH|=|H|(prop.1-6)から,
|G|=i|C(xi)|=i|H|=|G/H||H|

参考文献:
代数学1群論入門, 雪絵明彦, 日本評論社, 2010
代数入門―群と加群, 堀田良之, 裳華房, 1987

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