2018年3月16日金曜日

暗号学 二歩目

代数学

体論

Definition 2-1

集合\(\mathbf{R}\)と\(\mathbf{R}\)上の二項演算\(+, *\)(それぞれを加算,乗算という)があって、以下の条件を満たすとき\((\mathbf{R}, +, *)\)を環(Ring)という.

(1) \((\mathbf{R}, +)\) は可換群である. \(+\)についての単位元を\(0_\mathbf{R}\)と書く.
(2) \((\mathbf{R}, *)\)はモノイドである. i.e.

(1) \(*\) は結合法則を満たす
(2) \(*\)は\(\mathbf{R}\)に閉じている
(3) \(*\)の単位元が存在する

\((\mathbf{R}, *)\)の単位元を\(1_\mathbf{R}\)と書く.

(3) \((\mathbf{R}, +, *)\)は分配法則を満たす. i.e.

\[\begin{aligned}\forall a, b, c. (a + b) * c &= a *c + b* c\\ a *(b+c) &= a * b + a * c\end{aligned}\]

さらに,環\((\mathbf{R}, +, *)\)の乗算が\(0_\mathbf{R}\)以外のすべての元に逆元をもつときこれを体(field)といい,特に\(*\)が可換なとき可換体という.可換体を単に体といい,\(*\)が非可換なとき特に非可換体や斜体ということもある.(後者を採用する)

Examples

  1. \(\mathbb{Q}\)や\(\mathbb{R}\)は通常の加算・乗算で体
  2. \(\mathbf{R}\)上のn次の正方行列の集合\(M_n(\mathbb{R})\)は通常の加算・乗算で非可換環をなす.
    3. \(\mathbf{R}\)上のn次の可逆な行列\(GL_n (\mathbb{R})\)を一般線形(general linear)群,とくにdeterminant が1な行列の集合\(SL_n(\mathbb{R})\)を特殊線形(special linear)群といい,ともに通常の加算・乗算で斜体をなす.

Definition 2-2 素数体

\(p\):素数 について,\(\mathbb{F}_p = \{0, 1, ..., p-1\}\)に,演算を
加算: \((a, b) \mapsto a + b \mod p\)
乗算: \((a, b) \mapsto a \times b \mod p\)
と定義し,単に\((+, *)\)と書くことにすると、\((\mathbf{F}_p, +, *)\)は体である.(証明略)

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