2017年8月22日火曜日

MIT OCW, Fundamentals of Probability 24日目 Markov Chain III

David Gamarnik, and John Tsitsiklis. 6.436J Fundamentals of Probability. Fall 2008. Massachusetts Institute of Technology: MIT OpenCourseWare, https://ocw.mit.edu. License: Creative Commons BY-NC-SA.

Lecture 25. Markov Chain III. Periodicity, Mixing, Absorption

25.1 Periodicity

がrecurrentであるとき,がそれ自身からaccessibleである時刻,すなわちを考える. は和に対して閉じている(i.e. ). の元の最大公約数として,periodという. periodの諸性質を論じる.

Lemma 25-1

が同じrecurrentにあるとき,である.

proof.

であるを選ぶ(同じrecurrentだから存在する). だからを割り切る. またなるとすると,だから,を割り切り,故にを割り切る. したがってを割り切る. 同じ論法でを割り切ることも言えて,以上より

であるようなrecurrent classをperiodicといい,であるときにはaperidicという. periodicityはに収束することを妨げている. がperiodicなrecurrent classの元とすると,が,の倍数でない限り成立するが,である. 一方(aperiodic)であれば,十分大きな全てのに,markov chainがに戻ってくる確率が正になる.

Lemma 25-2 (証明略)

であれば,があって,である.

Markov chainがただ一つのrecurrent classをもち(irreducible),かつaperiodicであるとき,steady stateの振る舞いはstationary distributionによって与えられる.この事実をmixingという.

Theorem 25-3 (証明略)

irreduibleかつaperiodicなMarkov chainがあるとき,任意のstateの組について

periodicな場合には,の部分列の収束に関する定理が有るがここでは扱わない.
が任意のに成り立つとき,そのMarkov chainはreversibleであるという. Theorem 25-3の仮定にreversible性を加ええ場合の重要な定理が知られている.

Theorem 25-4 (証明略)

irreducible, aperiodic, reversibleなMarkov chainについて,任意のが成り立つような定数が存在する.ただしの二番目に絶対値が大きいeigenvalueとする.

だから,これはへの収束の速さを与える.

25.2 Absorption Probabilities and Expected Time to Absorption

Markov chainの長期的な振る舞いを見てきたが,今度は短期的な振る舞いを議論する. 特にtransientなstateから始まったchainの振る舞いを考える. 簡単のため,recurrent state absorbingであるとする.すなわちである. これから考察するMarkov chainはtransient classのほかは全てabsorbingとする.
absorbing state がただ一つであるときにはであって,必ずに到達する. 一方absorbing stateが複数存在するときには,どのabsorbing stateに至るかは確率的に決まる.

をabsorbing probabilityという. がabsorbingならである.
がtransientなら

だから,この線形連立方程式を解くことでabsorption probabilityを得られる.

Example: Gambbler’s Ruin

あるギャンブラーが一回の勝負ごとにの確率で1ドルを得て,の確率で1ドルを失うとする. それぞれの勝負は独立であるとする. ギャンブラーはドルを稼ぐか金を全て失うまで勝負を続ける. 彼が全財産を失う確率を求めよ

はギャンブラーの持つ金額として,Markov chain を考える. なるとき,彼は全財産を失うったということであり,となるとき,彼は目的を達成したということである. はabsorbing stateであると言える.
transition probabilityはが全てので成立する.またである. のabsorbing probabilityは

によって計算できる.とすると,上の方程式から

であって,故にである. であって, であって,

さらにならばについて

ならば

したがってがいかなる値でもが大きくなると全財産を失う確率がに近づく.

Discrete Stochastic Processesに続く

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