2017年7月12日水曜日

Gamarnik, Tsisiklis. Fundamentals of Probability 07日目 離散確率変数の期待値

David Gamarnik, and John Tsitsiklis. 6.436J Fundamentals of Probability. Fall 2008. Massachusetts Institute of Technology: MIT OpenCourseWare, https://ocw.mit.edu. License: Creative Commons BY-NC-SA.

Lecture 6. Discrete random variables and their expectations

4. Expected Values(期待値)

4.1 Preliminaries: infinite sums

という級数があるとき,全ての項が非負ならその順番を並び替えても級数の和がもとと同じになる.また,項が必ずしも非負でない場合に並び替えで和が変わらない条件というのは,絶対収束性であった.すなわちをそれぞれ級数から非負の項のみ取り出した和と,負の項のみ取り出した和とするとき,がともに有限であればよかった.
また,という二重のインデックスが振られた数列の和についても,全ての項が非負であるか絶対収束すれば

と書けるのであった.

4.2 Definition of the expectation

random variable X のPMFを要約する値の一つに,expectation(期待値)がある.

Definition 6-2(Expectation)

discrete random variable とそのPMF があるとき,expected value(expectation, or mean)

と定める.これが常にはwell-definedでないことはすでに注意した.

4.3 Properties of the expectation

expectationの別の表現として,が非負の整数値しか取れないなら,

がある.

Proposition 6-3

discrete random variable があるとき,

この定理で,とすると,のexpectationがとわかる.
とも書く.second momentという.より一般に,th momentという.さらに,th central momentといい,特にの2nd central moment variance(分散)といい,とか,と書く.
さらにのvarianceの根をstandard deviation(標準偏差)といい,とか,単にと書く.

Proposition 6-4

同じprobability spaecのdiscrete random variableとする.以下,両辺でそれぞれの値に確定値が定義されているとき

(a)
(b)
(c) に,
(d)
(e)
(f) が独立なら,
(g) が独立なら

Lecture 7. Discrete random variables and their expectations (cont)

1. Comments on Expected Values

(a) がともに有限である場合にのみ有限確定値をもつ.これはと同値である.これを満たすrandom variableはintegrableであるという.
(b) 任意のを許せば常に定義されている.特にであるとき,square integrableという.
(c) から,である.よって,square integrableならばintegrableである.
(d) だから,(i)がsquare integrable ならば (ii) がintegrableだがsquare integrableでないとき,. (iii) がintegrable でないなら,は未定義.

2. Expected values of Some Common Random Variables

(a) Bernoulli
であるとき,

(b) Binomial
とする.このときと,によって書ける.
よって

(C) Geometric
とする.を使う.
から,

(d) * Poisson*
とする.

また,

これは,Poisson分布がBinomial分布のの極限であることからも言える.
(e) Power
であるとき,

これをRiemmanの functionといい,と書く.

3. Covariance and Correlation

3.1 Covariance

Definition

square integrable random variable について,そのcovariance(分散)

と定める.から,がsquare integrableという仮定のもとで,である.

が同じ符号を取りやすいときは,異なる符号を取りやすいときはと考えることができる.よって,の符号はの関係を要約する.
以下にcovarianceの重要な性質をいくつか挙げる.
(a)
(b)
(c)
(d)
また,

である.
が独立であればであって,である.逆は必ずしも成り立たない.

3.2 Variance of the sum of random variables

とすると,

である.特に,

である.

Correlation coefficient

correlation coefficient(相関係数)

と定める.正規化されたcovarianceと考えることができる.

Theorem 7-1

は正のvarianceを持ったdiscrete random variableとする.またを単にとする.このとき
(a)
(b) のとき,の確率が1となるような定数がある.

proof.

(a) とする.Cauchy-Scwartzの不等式より,


(b) なら,

逆に,とすると,である.
ここで

を考えると,というrandom variableが0をとる確率は1である.よって示せた.

4. Indicator Variables and the Inclusion-Exclusion Formula

indicator functionは,event に対して,
と定義され,である.indicator functionによって今後の様々な定理や証明を簡潔に書ける.

4.1 The inclusion-exclusion formula

,またである.
両辺のexpectationを考えると,

これを一般化する.とする.とすると,

が成立.両辺のexpectationを取って,

これをInclusion-exclusion theoremという.

5. Conditional Expectations

によって,にいてのconditional PMF が定義でき,さらににはconditional expectationが定義できる.

Definition 7-2

とdiscrete random variable があるとき,がある時のconditional expectation

と定める.

また,という形のconditional expectationとは,とした場合,すなわち

である.が非負であるかintegrableであるならconditional expectationは有限値を取る.

5.1 The total expectation theorem

の分割とする.random variable
と定める.このときである.したがって

である.

Example(The mean of the geometric)

とする.すなわち.ここで


が成立.コイントスの例をとれば,次の回目のコイントスで表が出る確率は,1回コイントスをした時点で回目のコイントスで表が出る確率に等しいということ.このようなdistributionをmemoryless(無記憶)であるという.


について解いて,.
同様に

から,

これを解いて

したがって

5.2 The conditional expectation as a random variable

をdiscrete random variableとする.を固定するとは実数として定まり,の関数と考えることができる.の関数と考えてと書くとすると,はrandom variableである.

Theorem 7-2

がmeasurableで,が非負かintegrableであるとき,

であって,特にとすれば,である.

proof.

系:
からのestimationと考えられて,はestimation errorである.この定理は,estimation errorがいかなる関数ともcorrelationを持たないことを主張している.

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